『社会科学研究』第56巻第5・6合併号

機能分化と「法の支配」
Functional Differentiation and "the Rule of Law"
馬場靖雄/BABA Yasuo

Keywords: 機能分化, 法の閉鎖性, 否定と棄却, 固有値, 基本権,

抄録

ニクラス・ルーマンの社会システム理論を踏まえて,近代社会を機能的に分化した社会ととらえ,そこにおける「法の支配」の意味について論じる.法を初めとする機能分化したシステムは,それぞれ独自の二分コードを用いて,社会内のあらゆる事象をテーマとして扱う.システムの外にある社会的環境(法にとっての道徳など)もまた,コードを通して,システム内において扱われる.この意味で機能システムはそれぞれ閉じられており,法が扱いうるのは法から見た社会的環境のみである.したがって法の支配が及ぶのは,法自身が投影した社会の範囲内でしかない.しかしこのように閉じられたシステムが相互に影響しあうなかで,いくつかの制度は改変され難いものとして固定されるに至る.基本権はそのひとつである.

abstract

In this paper we will try to discuss, taking the social systems theory of Niklas Luhmann into account, problems which arise from the concept "rule of law" in a functionally differentiated society. Each functional subsystem of society (including legal system) operates only on its own binary code (law/not law, for example), in this sense it operates in a closed circuit. When we argue about law and society, about the most preferable relation between them for instance, the "society" is located in this closed circuit. Accordingly the legal system can rule only itself, not the closed circuits of other functional subsystems-economy, politics, science, religion, etc.

社會科學研究 第56巻 第5・6合併号(2005-03-30発行)

(更新日: 2012年 11月 2日)

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