『社会科学研究』第60巻第2号

アメリカ型福祉国家と財政規律
American-model Welfare State and Fiscal Discipline
加藤美穂子, 渋谷博史/KATO Mihoko, SHIBUYA Hiroshi

Keywords: アメリカ財政, 福祉国家, 財政規律, 州・地方財政, 連邦補助金 ,

抄録

 本稿では, アメリカ・モデルの福祉国家における財政規律の問題を, 連邦レベルの均衡予算憲法修正と, 連邦補助金による州・地方レベルの財政構造への誘導効果の関係という分野で考えてみたい. 均衡予算憲法修正の連邦議会公聴会で保守派の証言者は, 「ケインズ的な赤字財政は, 財政規律の麻痺をもたらし, アメリカ全体の道徳の低下につながる」と述べる. さらに, 州・地方財政にまで視野を広げると, 「ケインズ的な赤字財政」で賄われる連邦補助金は, 福祉拡充バイアスがあり, アメリカ・モデルの福祉国家の原型(均衡財政原理に規定される州・地方財政の下の「小さな政府」的な福祉国家)に歪みを与えることになる. このような論理は, 前企画特集「アメリカ・モデルの福祉国家」で分析された1990年代の福祉改革における保守ベクトルの背景をなしている.

abstract

We examine the fiscal discipline of the American-model welfare state. In the congressional hearing on the balanced budget amendment, a conservative witness told that Keynesian's deficits destroy not only the fiscal discipline but also American moral. From the conservative viewpoint, the federal-aids, financed with Keynesian's deficits, have the pro-welfare bias and distort the basic pattern of the American-model welfare state, which is managed under state and local governments as the balanced finance-style "small government".

社會科學研究 第60巻 第2号(2009-02-03発行)

(更新日: 2012年 11月 2日)

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