東京大学社会科学研究所

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研究

『社会科学研究』第60巻第3・4合併号

複数の潜在的参入企業によるクリーム・スキミング的行動が市場の競争性に及ぼす影響について
Cream Skimming and Multiple Potential Entrants
石橋郁雄, 松村敏弘/ISHIBASHI Ikuo, MATSUMURA Toshihiro

Keywords: 複数財, 複数の潜在的参入企業, 参入, 第二最終行動者の不利益, 市場の競争性,

抄録

 本論文では, 複数の潜在的参入企業の存在が範囲の経済性をもつ複数財産業の競争に及ぼす影響を分析した. 主要な結論として, 潜在的参入企業のクリーム・スキミング的(利潤の高い市場のみに参入する, いわゆる「いい所取り」)行動が, 潜在的参入企業が一社だった場合に破壊的競争をもたらしたとしても, 企業数が二社以上だった場合には一転して, 既存企業による独占的状態の維持につながる可能性があることを示した. この結果は, 潜在的参入企業の数が増えると市場の競争が弱くなる可能性があることを示している.

abstract

This paper investigates the effects of multiple potential entrants on competition in multi-product industries. We find that the cream skimming behavior of one potential entrant induces destructive competition and that more than one potential entrant yields a monopoly position for the incumbent. Counter-intuitively, an increase in the number of potential entrants reduces the competitive forces of potential entries.

社會科學研究 第60巻 第3・4合併号(2009-02-16発行)

(更新日: 2012年 11月 2日)

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