『社会科学研究』第60巻第3・4合併号

電力自由化と電源構成
Growing competition in electricity industry and the power source structure
猪野弘明, 松村敏弘/INO Hiroaki, MATSUMURA Toshihiro

Keywords: 原子力発電, 需要変動, 新規参入, 生産代替, 生産阻止,

抄録

 本稿では, 電力供給者の戦略的行動が電源構成に与える影響を分析する. 電力自由化によって, 従来は地域独占であった電力市場において, 新規電力供給者が参入する. ただし, 原子力のように初期投資や回収不能な管理費用, つまり埋没費用が相対的に大きな固定費用型の発電方法は, 既存企業には利用可能だが, 新規企業は使えない. そうした状況下において, 電力自由化は市場における固定費用型発電の均衡容量を減らすだろうか. 本稿は固定費用型発電の容量単位あたり費用が十分に低いときのみ, つまり元々原子力に十分な競争力があったときのみ自由化によってその均衡容量が減少することを示した.

abstract

We investigate how the strategic behaviors of electric-power producers work on their power source structure. We introduce the competitor who cannot use the technologies which requires an enormous set-up cost such as nuclear power into an electric-power market which is originally local monopoly. Does introducing such a competitor decrease the capacity of nuclear power in the market? We show that the capacity of nuclear power decreases if and only if nuclear plant is sufficiently efficient.

社會科學研究 第60巻 第3・4合併号(2009-02-16発行)

(更新日: 2012年 11月 2日)

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