『社会科学研究』第61巻第2号

「パチンコ機特許プール事件」再考
A Reconsideration of a Japan's Patent Pool Case on "Pachinko Machines"
田中悟, 林秀弥/TANAKA Satoru, HAYASHI Shuya

Keywords: パテントプール, ネットワーク分析, 特許引用関係, 私的独占, パチンコ機,

抄録

 本稿では, わが国のパテントプールに対して競争政策上問題とされたリーディングケースである「パチンコ機特許プール事件」(平成9年8月6日公正取引委員会勧告審決)についての法と経済学的接近が行われる. そこでは, この事件に対する公正取引委員会勧告審決が認定した事実そのものに遡って, パテントプールがもたらした競争上の効果についての検討が加えられる. 本パテントプールが形成された歴史的経過とその変遷が吟味された後, パテントプールに集積された特許権をめぐる特許引用関係を用いたネットワーク分析を通じて, これらの特許権の性格が検討される. こうした分析を通じて, パテントプールに集積された特許権がパチンコ機製造にとって必要不可欠なものであり, 公取委審決で問題とされたパテントプールを通じた参入排除が実効性を有していたことが明らかとされる.これらの帰結をベースにして, 本パテントプールに関して行われた審決の独占禁止法および競争政策上の意味についての考察が行われる.

abstract

This paper is a "Law and Economics" approach to the Japanese patent pool case on "Pachinko" machines (Japanese entertainment machine) which is the leading case of monopolization by means of the patent pool. In there, we consider the competitive effects of the patent pool by tracing the various facts around this pool. After examining the historical backgrounds of this patent pool, we analyze the characteristics of the patents collected in the pool through the network analysis of the patent citation network. As a result, it is shown that the patents collected in the patent pool are essential to manufacture the "Pachinko" machines, and that the refusal of the license of this kind of the patents is effective to the entry deterrence. Based on this analysis, we consider the implications of the decision to this case by JFTC.

社會科學研究 第61巻 第2号(2010-01-27発行)

(更新日: 2012年 11月 2日)

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