『社会科学研究』第62巻第2号

民法94条2項の「第三者」はなぜ「善意」なのか?
Why the third party should be bona fides in Article 94 of the Japanese Civil Code?
座主祥伸/ZASU Yoshinobu

Keywords: 第三者惚護, 善意, インセンテイプ, ワスタ回避,

抄録

本稿では,日本民法書4条2項の規定における第三者保護規定の効果を考察する.94条には虚偽表示に関する規定がされており, 94条1項, 2項ともに虚偽表示を原因とする諸々の紛争費用増大を防ぐ取り組みがなされていると考えることができる.94条2項の第三者に関する規定は,第三者を保護することが,虚偽表示を行う関係当事者に適切なインセンテイブ(誘因)を与える手段となることを考察する.加えて,第三者保護の範囲を善意者に限定することが望ましい条件を提示することによって,民法(起草者)が虚偽表示という結果の分散が大きいことを嫌う,リスク回避的である可能性を示す.最後に94条2項が類推適用される事例では,第三者に善意無過失を要求する場合もあるが,これは関係当事者へのインセンティブを重視するとともにリスクを嫌っている先の説明と整合的である

abstract

The present paper examines the effect of the third party protection in Article 94-2 of the Japanese Civil Code on incentives of the related parties. We study the provision on third party protection as incentive device for the related parties rather than as protection of the third party. We present the conditions for the protection of the bona fides party and show that the drafters can be risk averse. Additionally, we consider that a precedent as an application of Article 94-2, where the legal protection requires a bona fides and negligent party, is consistent with our analysis.

社會科學研究 第62巻 第2号(2011-03-15発行)

(更新日: 2012年 11月 2日)

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