『社会科学研究』第65巻第1号

子育て支援と生活の協同—福井県民生協の取り組みから—
Effects of Supporting Parents with Young Children in Fukui Prefecture: From the Survey on Activities of Fukui Consumer Co-operative
近本聡子/CHIKAMOTO Satoko

Keywords: 子育て支援, 子育て期の生活, 生活協同組合, 非営利・協同セクター, 移住者, 複合的な福祉サービス,

抄録

2011年に実施された『福井の希望と社会生活調査』(以下福井調査)から30 歳代女性をピックアップして回答をみたところ,生活満足度は高く,子育て支援ももっと充実してほしいが子育てしやすい街であるという評価が出ている.子育て支援の一端を担う生活協同組合の施設では,子育てひろばや一時保育を通して,子育て時期の女性や組合員をエンパワすることができているようで,「実家に帰る」ように良く利用されている. ただし,福井県民生協の子育て支援施設では協同組合という特徴を活かした子育て支援 というより「地域福祉」の発展をめざす取り組みが始まったばかりで,協同組合という親どうしの繋がりを育成するということは強調されていない.調査ヒアリングにおいても,購買事業にはふれても「協同組合」ということばがまったく出てこなかった.協同組合は,法人でもあり,法人(あるいは利用施設とスタッフ)と個人の繋がりは営利企業でも強く作ることができる.しかし,協同組合はマルチステークホルダーによるネットワークすなわち子育て支援施設であれば,親どうしの繋がりを作ること,参画による運営主体の循環もミッションである.よって,今後の課題は「非営利・協同」セクターとして,利用者間の多様な繋がりを作り,参画に繋げていくことにもっと力を入れることである.この視点が欠落すると,そもそも協同組織であることが認知されない可能性があると推察される.営利企業のなかなかできない多様な繋がりを作ることが,より多くの人にとって社会的包摂の契機となるであろう.

abstract

In this section, I focus on the activities of both the public and nonprofit sectors which support parents with young children, and try to estimate effects of these on the personal livelihood of women or mothers. In Fukui Prefecture, people make various types of co-operatives such as consumer co-ops and agriculture co-ops, and these co-operatives take great responsibilities to build better communities. I mainly observed the Fukui -Kenmin consumer co-operative (Fukui Co-op), the greatest co-op in the prefecture having over 138 thousand members and did research by distributing questionnaires and conducting interviews. The statistics show some tentative effects on parents’ satisfaction and quantitative research also explains that mothers using co-operative services found them indispensable, especially newcomer mothers to Fukui. So it is further expected that Fukui Co-op has a necessity to strive to build relationships between its own members and also with members of other sectors.


社會科學研究 第65巻 第1号(2014-05-08発行)

(更新日: 2014年 5月 8日)

東京大学 社会科学研究所

〒113-0033 東京都文京区本郷7-3-1

東京大学社会科学研究所

Tel 03-5841-4904 Fax 03-5841-4905

Email webmaster@iss.u-tokyo.ac.jp

※ ご意見・ご感想をお寄せください。ただし教員等に関する連絡先の照会や取り次ぎの依頼には、応じることができません。