『社会科学研究』第68巻第1号

国際法の形成における国家の同意の役割ー国家の同意は衰退したのか?ー
The Role of State Consent in International Lawmaking: The Decay of Consent?
小栗 寛史/OGURI Hirofumi

Keywords: 国家の同意,国家の同意原則,非合意的法形成,国際法の形成,合意主義

抄録

 国家は同意を与えない限り国際法規範に拘束されないという「国家の同意原則」に表されるように,国際法の形成において国家の同意は伝統的に主要な役割を果たしてきた.これに対して,現代の多様化した国際法形成において,このような国家の同意の伝統的な機能が衰退してきている旨が指摘されるようになっている.かかる指摘自体は決して新しいものではないが,同旨の指摘はグローバル公共財の規制に関する近年の実践において顕著であり,国際法の形成に関する新たな理論の模索が依然として課題であると言えよう.
 本稿は,多様化した国際法形成に関する研究について,主として非合意的法形成――国家の同意なしに新たな法的義務が創出される現象――を題材として取り上げ,先行研究の整理を通してその到達点を示し(Ⅰ),これらが抱えている問題点を明らかにした上で,国際法形成の理論化に関する今後の研究の課題に言及する(Ⅱ)ものである.

abstract

This article deals with the intricacies of consensualism and its place as the source of international law, by reviewing previous studies focusing on the relationship between the process of international lawmaking and the role of state consent in that process. In contemporary international society, newly developed methods of lawmaking exist which cannot be explained by state consent in its traditional function, and given this contemporary circumstances, international lawyers cannot find the justification based on state consent for such lawmaking, arguing for example that they are explainable based on consent ex ante and that contemporary lawmaking retains a consensual character. In this respect, therefore, to revisit the concept of “state consent” itself is necessary for the theoretical analyses of modern international lawmaking.


社會科學研究 第68巻 第1号(2017-03-17発行)

(更新日: 2017年 3月 17日)

東京大学 社会科学研究所

〒113-0033 東京都文京区本郷7-3-1

東京大学社会科学研究所

Tel 03-5841-4904 Fax 03-5841-4905

Email webmaster@iss.u-tokyo.ac.jp

※ ご意見・ご感想をお寄せください。ただし教員等に関する連絡先の照会や取り次ぎの依頼には、応じることができません。