全所的プロジェクト研究

全所的プロジェクトとは

社会科学上の重要な研究テーマを、討論をつうじて自ら設定し法学・政治学・経済学・社会学などを結合した学際的研究を研究所内外、国内外の研究者との共同研究のかたちで遂行し数年間の研究期間をへて、成果を刊行します。

2016~2019年度の全所的プロジェクト研究

危機対応の社会科学(危機対応学)

 社会は、つねにさまざまな危機に直面しています。社会が持続したり、発展を続けることができるとすれば、それは訪れる多様な危機に対して対応できる力が、社会とそこに生きる人々のなかにあるからです。

 2016年度からの新たな全所的プロジェクトとして、社研は「危機対応の社会科学(危機対応学)」を始めました。危機対応学は、社会のなかのさまざまな危機について、そのメカニズムと対応策を社会科学の観点から考察しようとする新しい学問です。「危険(リスク)」を「機会(チャンス)」に転じていくための対応メカニズムを、危機対応学は解明します。

 全所的プロジェクトは、これまで行われてきた数々の社研プロジェクトの蓄積の上に成り立っています。前回の全所的プロジェクト「ガバナンスを問い直す」の研究成果のなかに、福井県の西川知事のこんな言葉が引用されています。「危機は対応することはできるが、管理することなど絶対にできない」「(危機を)統制したり管理したりするという発想は、人間として「厚かましい」」。危機を経験してきた人々の言葉や行動の記録のなかから、危機対応に求められる社会的メカニズムを解き明かします。

 全所的プロジェクト「希望の社会科学(希望学)」で現地調査を行った岩手県釜石市の子どもたちは、3つの約束を実行することで、津波から自分たちの命を守りました。「想定にとらわれない」「つねに全力を尽くす」「率先して行動する」。今後遭遇するだろう未知なる危機に対し、一人ひとりがどうすれば対応する力を持てるのかを、具体的に示します。

 自然災害、紛争戦争、環境破壊、排除や孤立、貧困など、将来に一切の危機のない世界を想定することは困難です。むしろ、今後起こり得るさまざまな危機に対して、なんとか対応できるという見通しや手ごたえのなかにこそ、本当の希望は生まれるはずです。

 危機対応学は、所員の専門を存分に活かした調査や研究を進めるほか、社研らしく「グローバル」と「ローカル」の両輪で展開していきます。グローバルとしては、環太平洋共同研究・政策提言グローバルネットワーク「メリディアン180」と連携し、成果を広く世界に発信します。ローカルとしては、釜石市と連携して「危機対応研究センター」を設置し、震災や津波の記憶を踏まえた危機対応の方策を社会に浸透させていきます。

 全所的プロジェクト「危機対応学」にご期待ください。

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