所長コラム
所長コラム 2025/2/14
開かれた社会科学を日本からつくる
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先日、総長をはじめ東大執行部や他部局の先生方を前に、社研についてプレゼンテーションをする機会がありました。その際、社研のミッションを「開かれた社会科学を日本からつくる」として説明しました。やや大袈裟な物言いだったかもしれません。それでも、現在の社研が目指す言葉としては悪くないと思っています。
第一にはもちろん、社会科学の分野の壁を打ち破り、新しいフロンティアを切り開きたいという思いです。全所的プロジェクト研究をはじめ、社研のさまざまな研究活動はいずれも、新しいアイディア、新しい視角によって、既存の社会科学を揺さぶり、開かれた可能性を模索しています。
第二に、社研はSSJデータアーカイブなどの活動を通じて、自ら行なった社会調査のデータはもちろん、さまざまな組織や個人から寄託されたデータを世界に向けて公開しています。オックスフォード大学出版局から刊行されている英文雑誌Social Science Japan Journalも、アカデミア(社研)の自律的なエディターシップで編集されています。社研はまさに「オープンサイエンス」の動きの先頭を走ってきました。
そして第三に、社研の活動は社会に対して開かれたものでありたいと願っています。岩手県釜石市との交流も20年になりました。地域を単に調査対象とみなすのではなく、地域の皆さんと共に考え、歩んできた20年でした。これからも社会の多様な声をしっかりと受け止める研究所でありたいと願っています。
宇野重規