東京大学社会科学研究所

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社会科学研究所について

設置事由

設置事由

設置事由

 本研究所の企図する所は広く世界各国の法律、政治、経済の制度及び事情に関し正確なる資料を組織的・系統的に蒐集し且つこれが厳密に科学的なる比較研究を行ふにあり。

 抑々大学に於ける社会科学の研究が一方我が国の現実に立脚しつつ而かも他方海外諸国に於ける法律、政治、経済の実勢を常に省察・対照しつつ確乎たる地盤と広き視野との上に立ってその歩を進めざるべからざるは言を俟たず。

 然るに従来の我国諸大学に於ける社会科学の研究は或ひは単に抽象的学理の探求に終始し或ひは不完全なる資料に基く杜撰なる帰納的論断に傾ける嫌なきに非ず。而し是の如き欠陥の存したる理由は他なし。

 社会科学の研究をして右の理想を達成せしむるが為には資料の広汎且精到なる蒐集と、その資料に対する不断且厳密なる理論的分析とを不可欠の要件となすにも拘らず、我が国にはかかる施設の見るべきもの殆んど一も存在せざりしが為なり。而もかくの如き施設の必要なる所以は右に尽きる事なし。我が国今後の立法乃至施策の計画の樹立とその実行の為にも緊要かくべからざるものあり。蓋し、一国の立法乃至施策が其の国の現実の事情を正確に把握すると共に諸外国の実情を研究し之を他山の石と為すべき事は因より言を俟たざる所なるも、我が国が今後民主主義的平和国家として諸政の一新を為すに当りては其の必要弥々大なるものがある為なり。

 右の如き事情に鑑み本研究所は冒頭に記したる本研究所の企図する所を実現することにより、一つには大学に於ける社会科学の研究を弥々益々現実の上に深く基礎を置く確乎健実なるものたらしむことを期すると共に、二つには将来政府乃至帝国議会に対し時に臨み必要に応じ本研究所の調査研究の成果を提供して国家の政策の樹立に寄与貢献せんことを期するものなり。

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