東京大学社会科学研究所

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研究

所員の著書

丸川知雄
『チャイニーズ・ドリーム—大衆資本主義が世界を変える』
(ちくま新書, 2013.5)

2013.05.08更新


はじめに

    ある中国人企業家の肖像/「大衆資本主義」とは何か/本書の方針

第1章 草の根資本家のゆりかご・温州

    大衆資本主義の源流/文化大革命期に誕生した大衆資本主義/バルブ製造業とスイッチ製造業の誕生/多様な産業の生成/産業集積の形成/産業集積が生まれる論理/起業のためのインフラ/起業家たちの実像/つぶされても甦る不屈の産業集積/北京の浙江村/中国全土、そして世界へ広がる温州人/温州モデルの限界

第2章 ゲリラたちの作る携帯電話

    「ゲリラ携帯電話産業」とは何か/世界に例を見ないゲリラ携帯電話産業/細かい企業間分業/ゲリラ携帯電話産業の生みの親—ICメーカー/ゲリラ携帯電話産業の黒子—基盤・ソフト設計会社/ゲリラ携帯電話産業の主役—インテグレーター/華強北—中国の巨大な「秋葉原」/「リサイクル機」を作る人々/華強北の生い立ち/ゲリラ携帯電話産業はなぜ誕生したのか/初期のゲリラたち/中国の農村から海外へ/ゲリラたちのイノベーション/ゲリラ携帯電話産業の持続性

第3章 太陽電池産業で中国が日本を追い抜いたわけ

    太陽電池の歩み/突然の日中逆転/日中のプレーヤーの相違/逆転が生じた理由/ニューヨークに株を上場した大衆資本家たち/急増した中国メーカー/販売ルート/勝敗を分けた二〇〇七年/二つの見込み違い/太陽電池の技術間競争/激しい市場の浮き沈み/危機の到来/学ぶべき経営理念/太陽電池に「差別化」はいらない

第4章 大衆資本主義がもたらす創造と破壊

    大衆資本主義のインパクト/自転車大国だった中国/自転車産業の変貌/分裂と集積/電動アシスト自転車と電動自転車—似て非なるイノベーション/イノベーションの動機と担い手/部品の技術革新/世界を席巻した中国産レアアース/中国が世界一になったわけ/政府による統制の失敗/外交カードになったレアアース/輸出制限の真の狙い/もろい支配力/問題を増幅させるナショナリズム/レアアースがなくても中国は工業大国/刺激された日本のナショナリズム

第5章 中国経済と大衆資本主義

    中国の経済体制をどう表現するか/国家資本主義論の問題点/民間企業はどの程度まで成長したか/競争的な国有企業/民間・国有・外資の混在/「民業圧迫」にさらされる民間企業/いったん根絶やしとなった民間企業/自営業の弾圧と復活/平坦ではなかった民間企業発展の道/民間企業の発展に対する壁の撤廃/国有と民間の棲み分けはない/民間企業の活発さに関する国際比較/民間企業発展の地域性

おわりに—「中国夢」に日本は何を学べるか?

    あらためて大衆資本主義とは何か?/普遍性/大衆資本主義からの卒業/他に例を見ない規模とスピード/中国の大衆資本主義と日本企業/日本にも大衆資本主義は可能か?

あとがき
参考文献
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