東京大学社会科学研究所

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研究

所員の著書

田中亘(編著)
『数字でわかる会社法』
(有斐閣, 2013年7月)

2013.07.05更新

第1章 数字で「わかる」とはどういうことか——本書の狙い


I はじめに


II 数字で「わかる」とはどういうことか(1)——利害状況を明確化すること

1 数字を用いた分析がなぜ重要か
2 論点——業務提携のための新株発行における有利発行性の判断
3 設例
4 高騰前の株価を基準に1株の払込金額を決める場合
5 高騰後の株価を基準に1株の払込金額を決める場合
6 まとめ

III 数字で「わかる」とはどういうことか(2)——望ましい法制度についての洞察を得ること

1 規範的な分析
2 規範的な分析をする際の判断基準——効率性について

IV 関係諸科学への招待


V おわりに


第2章 株式価値の評価


I はじめに


II さまざまな株式価値の評価方法

1 ネットアセットアプローチ
2 インカムアプローチ

Column 2-1 企業の配当政策

3 マーケットアプローチ

III 株式の評価をめぐる裁判例・学説の状況

1 裁判例の動向
2 学説上の有力説

IV DCF方式による株式評価のプロセス

1 全体像
2 将来FCFの算定
3 割引率の設定——リスクがある場合

Column 2-2 マルチ・ファクター・モデル

Column 2-3 非流動性ディスカウントとマイノリティ・ディスカウント


第3章 株式有限責任制度と債権者の保護


I はじめに


II 株式有限責任制度の存在意義

1 主に上場企業に当てはまるもの
2 株式会社一般に当てはまるもの

Column 3-1 合名会社と株式会社

III 株式有限責任制度の弊害

1 総説

Column 3-2 個人の「無限責任」と破産免責

2 不法行為コストの外部化
3 資産代替
4 会社財産の株主への移転

IV 債権者による自衛

1 利率の引上げ
2 行為自体の直接的制限と再交渉権限の留保
3 株主による会社債務の保証

V 法律による債権者保護と学説による立法提言

1 分配可能額規制

Column 3-3 資本制度と債権者保護

2 法人格否認の法理と取締役の対第三者責任
3 法的倒産手続と経営状態の悪化した場合の取締役の義務
4 不法行為コストの外部化への対処

VI まとめ


第4章 取締役の善管注意義務・忠実義務および株主代表訴訟


I はじめに


II 取締役の善管注意義務・忠実義務の機能と問題点

1 善管注意義務と忠実義務——その意義はどこにあるか
2 設例と課題
3 単純な契約
4 条件付き契約
5 成果連動型契約
6 忠実義務・善管注意義務の機能
7 法的責任ルールの問題点——裁判所の能力の限界

Column 4-1 裁判所の判断の誤りが取締役の行動に与える影響

8 法の戦略

III 株主代表訴訟の意義と問題点

1 株主代表訴訟の役割
2 代表訴訟の(潜在的な)問題点
3 実証研究とその評価

Column 4-1 株主は代表訴訟をどう見ているか

IV おわりに


第5章 会社法のための会計入門


I はじめに


II 貸借対照表・損益計算書とは何か

1 貸借対照表とは何か

Column 5-1 「純資産」と「資本」

2 損議計算書とは何か

III 貸借対照表・損益計算書の作成方法——簿記のしくみ

1 簿記とはなにか——「複式簿記」と仕訳
2 簿記による貸借対照表・損益計算書の誘導
3 自己株式・新株予約権の会計処理——純資産の会計
4 発生主義会計と費用収益対応の原則
5 時価評価

IV 「分配可能額」の計算


第6章 募集株式の発行等と株主の利益


I 新株発行の基本的なメカニスム

1 株式の発行と株主の利益
2 新株発行の価格と新旧株主間の利益移転

II 有利発行規制との関係

1 基本的な理解
2 有利発行規制と市場価格

Column 6-1 買収者が自信過剰になっている場合は?

Column 6-2 宮入バルブ事件

Column 6-3 株主利益と私的利益

Column 6-4 株式を対価とする公開買付けに関する産活法の特例

Column 6-5 より望ましい条件を得るための交渉と取締役の義務

Column 6-6 支配が移転する第三者割当てと株主総会決議

III 払込金額と「損害」

1 損害をめぐる2つの考え方
2 2つの考え方による違い
3 いずれと考えるべきなのか?

第7章 オプションと会社法


I はじめに——オプションとは何か

1 本章の構成
2 オプションとは何か

II オプションとしての新株予約権

1 意義
2 新株予約権の評価の重要性——有利発行の問題との関係で
3 有利発行性の判断——かつての解釈論と新しい解釈論
4 オプション評価の基礎理論——二項モデルの基本的な考え方
5 オプション評価理論についての追加的説明

Column 7-1 統計用語の基礎知識

Column 7-2 二項モデルにおける安全利子率の想定

6 裁判例における新株予約権の評価の笑際

III オプションとしての新株予約権付社債

1 意義
2 新株予約権付社債の有利発行性の判断

IV オプションとしての株式

1 株式がオプションであること
2 株式がオプションであることから得られる知見

第8章 友好的買収・組織再編と株式買取請求権


I はじめに

Column 8-1 わが国における企業買収取引

Column 8-2 株主総会における多数決の濫用への対処法

II 株式買取請求権制度の概要

1 反対株主の範囲

Column 8-3 基準日後の株主と株式買収請求権

2 株式買取請求権の行使

III 公正な価格の算定

1 総説
2 価格算定の基準日

Column 8-4 価格算定の基準日をめぐる最高裁の判断とその射程

3 「公正な価格」の算定方法——シナジー適正分配価格の場合

Column 8-5 有力説の見解とMBOへの適用可能性

4 「公正な価格」の算定方法——「ナカリセバ」価格の場合

Column 8-6 株式買収請求権によるシナジーの分配は本当に望ましいか?

Column 8-7 米国における株式買取請求権の利用状況


第9章 買収手法の強圧性ととりうる法の対処策


I 強圧性とはどういう問題か

1 はじめに
2 公開買付けとは何か
3 3つのストーリー
4 公開買付けの強圧性の問題とは
5 落差が生じる類型

Column 9-1 「強圧性」という用語のニュアンス

II 何が問題か

1 株主利益と企業価値
2 強圧性=悪?

III 対処方法

1 総説
2 Bebchuk教授の提案
3 株主総会決議による買収防衛策
4 セカンドチャンスの付与
5 二段階買収と株式買取請求権
6 全部買付義務

IV ブルドッグソース事件


第10章 実証分析入門


I 実証分析の意義


II 相関関係と回帰分析

1 相関関係
2 回帰分析
3 OLSによる推定
4 質的従属変数とMLE

III 仮説検定

1 母集団と標本
2 仮説検定
3 表の読み方

IV 法制度の評価

1 マッチング
2 IV (instrumental variable)
3 DD (differences-in-differences)
4 FE (fixed effects)

V 株価を使った実証分析の手法

1 イベント・スタデイ
2 マーケットモデルを活用した反事実の構築

VI おわりに



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