研究
- トップ
- 刊行物等 一覧
- 所員の著書(2017年の新刊)
- 玄田有史編『人手不足なのになぜ賃金が上がらないのか』
所員の著書
玄田有史編
『人手不足なのになぜ賃金が上がらないのか』
(慶應義塾大学出版会, 2017年4月)
2017.8.9更新
基本データ 人手不足と賃金停滞 玄田有史・深井太洋
序 問いの背景 玄田有史
第1章 人手不足なのに賃金が上がらない三つの理由 近藤絢子
ポイント 【規制】 【需給】 【行動】
- 求人増加の異なる背景
- 医療・福祉:介護報酬制度による介護職の賃金抑制
- 「人手不足イコール労働力に対する超過需要」ではない可能性
- 名目賃金の下方硬直性の裏返し
- 複合的な要因解明が必要
第2章 賃上げについての経営側の考えとその背景 小倉一哉
ポイント 【制度】
- 賃上げ率と賞与・一時金の動向
- 経団連の主張と主な特徴
- 成果主義の普及
- 経営環境の変化
- 今後も不透明は漂う
第3章 規制を緩和しても賃金は上がらない――バス運転手の事例から 阿部正浩
ポイント 【規制】 【制度】
- バス需要の増加と深刻な運転手の人手不足問題
- バス運転手の仕事と労働市場の特徴
- バス運転手の賃金構造の変化
- なぜ賃金水準は下がったのか
- バス運転手の労働市場の問題か
第4章 今も続いている就職氷河期の影響 黒田啓太
ポイント 【年齢】 【正規】 【能開】
- 「就職氷河期世代」への注目
- 同一年齢で見る世代間賃金格差
- 学歴別・性別によるちがい
- 雇用形態別の給与額
- 給与額増減の要因分解
- 「就職氷河期世代」の労働者数に占める割合について
- 「就職氷河期世代」の賃金が低い理由
- 氷河期世代の悲劇
第5章 給与の下方硬直性がもたらす上方硬直性 山本 勲・黒田祥子
ポイント 【行動】
- 下方硬直性によって生じ得る名目賃金の上方硬直性
- 名目賃金の下方硬直性が生じる理由とエビデンス
- 企業のパネルデータを用いた検証
- 利用するデータと検証方法
- 過去の賃金カットと賃上げの状況
- 名目賃金の下方硬直性と上方硬直性の関係
- 日本の賃金変動の特徴と政策的な含意
第6章 人材育成力の低下による「分厚い中間層」の崩壊 梅崎 修
ポイント 【制度】 【能開】
- 「欲しい人材」と「働きたい人材」のズレ
- 「分厚い中間層」の崩壊
- New Deal at Workのジレンマ
- 企業内OJTの衰退
- 長期競争よりも短期競争
- 経験の場の消失
- 解決策は実現可能な希望なのか
第7章 人手不足と賃金停滞の並存は経済理論で説明できる 川口大司・原ひろみ
ポイント 【正規】 【需給】 【能開】
- 問題意識――パズルは存在するか
- 企業の賃金改定の状況とその理由
- 労働者の構成変化が平均賃金に与える影響
- 女性・高齢者による弾力的な労働供給
- 労働供給構造の転換点と賃金上昇
- 賃金が上昇する経済環境を整えるために――人的資本投資の強化
第8章 サーチ=マッチング・モデルと行動経済学から考える賃金停滞 佐々木勝
ポイント 【需給】 【行動】
- 日本だけの問題なのか
- 標準モデルから予想できること
- モデルは循環的特性を再現できるか
- なぜ賃金調整は硬直的なのか
- 賃金硬直性の帰結と背景
第9章 家計調査等から探る賃金低迷の理由――企業負担の増大 大島敬士・佐藤朋彦
ポイント 【年齢】 【正規】 【制度】
- 世帯の側からの視点
- 世帯主の勤め先収入
- 世帯主の年齢分布
- 高齢化・非正規化の影響
- 増加する賃金以外の雇主負担
- 上昇する社会保険料率
- 非消費支出比率の上昇
- 世帯主の勤め先収入
- 1人あたり雇主の社会負担
- 社会保険料率等の引き上げの影響
第10章 国際競争がサービス業の賃金を抑えたのか 塩路悦朗
ポイント 【規制】 【需給】
- 高齢化社会と「あり得たはずのもう一つの現実」
- パズルは本当にパズルなのか――国際競争に注目する理由
- イベント分析の対象としてのリーマン・ショック
- 検証1:求職者は対人サービス部門に押し寄せたか
- 検証2:求職者の波に対人サービス賃金は反応したか
- 検証結果のまとめ
- 労働市場で何が起きているのか? 図解
- 今後の課題:なぜ対人サービス賃金は硬直的なのか
第11章 賃金が上がらないのは複合的な要因による 太田聰一
ポイント 【正規】 【需給】 【年齢】
- 原因は一つではない
- 非正規雇用者の増大
- 賃金版フィリップス曲線から
- 誰の賃金が上がっていないのか
- 議論――「世代リスク」にどう対処するか
第12章 マクロ経済からみる労働需給と賃金の関係 中井雅之
ポイント 【需給】 【正規】
- 日本的雇用慣行の特徴から労働需給と賃金の関係を考える
- 労働需給と賃金は必ずしも連動しない
- 需給変動と内部・外部労働市場
- 雇用の非正規化と一般の時間あたり賃金の動向
- 労働市場の課題と労働政策
第13章 賃金表の変化から考える賃金が上がりにくい理由 西村 純
ポイント 【制度】
- 賃金の決まり方
- 賃金表
- 三つの要素
- 昇給の仕組み(三つの方法)
- 昇給額決定の実際
- 「積み上げ型」の賃金表
- 「ゾーン別昇給表」の登場
- ベースアップ
- 賃金表変化の背景
- 賃金を上げるために
第14章 非正規増加と賃金下方硬直の影響についての理論的考察 加藤 涼
ポイント 【正規】 【年齢】 【行動】
- なぜ賃金は上がりにくくなったのか――問題の所在
- 賃金が硬直的な下での正規・非正規の二部門モデル
- 賃金の下方硬直性と上方硬直性
- 人的資本への過少投資と賃金の上方硬直性
第15章 社会学から考える非正規雇用の低賃金とその変容 有田 伸
ポイント 【正規】
- 社会学と国際比較の視点から
- 日本の非正規雇用とは何か
- 正規/非正規雇用間の賃金格差
- 賃金格差の強い「標準性」
- 非正規雇用の補捉方法の特徴
- なぜ日本の非正規雇用の賃金は低いのか
- 格差の正当化ロジックへの着目
- 企業による生活保障システムと格差の正当化
- もう一つの正当化ロジックと都合のよい使い分け
- 非正規雇用の静かな変容
- なぜ賃金が上がらないのか――非正規雇用に着目して考える
第16章 賃金は本当に上がっていないのか――疑似パネルによる検証 上野有子・神林龍
ポイント 【需給】 【年齢】
- 上がらない賃金?
- 賃金センサス疑似パネルからみた名目賃金変化率
- 賃金総額の変化の分解
- 結論――上がらない賃金と人手不足傾向の解釈