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『社会科学研究』第59巻第2号
職場環境の変化とストレス ―仕事における希望―
Changing Working Environments and Job Stress
安田宏樹/YASUDA Hiroki
Keywords: 仕事に対する希望, ストレス, 長時間労働, 成果主義, 賃金格差,
抄録
本稿では,仕事に対する希望について考察するために,仕事のストレスに着目し,仕事のストレスに影響を与えている職場環境の変化について分析を行った.推計に際しては,労働者調査に企業調査のデータをマッチングさせることで欠落変数バイアスへの対処を試みた.分析の結果,仕事のストレスを強める要因として長時間労働や同世代間の賃金格差の拡大,仕事の成果を厳しく問うことが大きな影響を及ぼしていることが分かった.一方,仕事のストレスを緩和させる要因として,労働時間の柔軟性を高めること,仕事の分担・役割を明確にすることが確認された.ただし,多くの従業員は,ストレスを緩和するような職場環境に恵まれてはおらず,ストレスを強める要因のみを抱えている従業員の方が多いことも示された.このことは,特に課長以上の管理職において顕著であった.現時点では,従業員の置かれている職場環境は長期的な仕事に対する希望を持ちにくい環境にあるといえる.
abstract
This paper examines job stress as a proxy variable of hope of work. The analysis focuses on changing working environments and job stress, using micro datasets of Japanese companies and workers. The ordered probit estimates of job stress show that longer working hours, performance-based pay system and wage inequality have a positive impact on job stress. On the other hand, flexibility of working hours and definite of work role have a negative impact on job stress. In addition, flexibility of working hours and definite of work role are not referred for many workers. These effects are remarkable for managers. This paper implies that changing working environments affect negative impact on hope of work.
社會科學研究 第59巻 第2号(2008-02-25発行)
(更新日: 2012年 11月 2日)