東京大学社会科学研究所

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研究

『社会科学研究』第71巻第2号

民事訴訟における代理人に関する基礎的分析
――10 年間の人数変化と訴訟結果の傾向――
A Basic Quantitative Analysis of Attorneys in Japanese Civil Lawsuits
齋藤 宙治/ SAITO Hiroharu

Keywords: 訴訟記録調査,民事訴訟,代理人弁護士,和解率,勝訴率

抄録

 本稿は,民事訴訟における代理人弁護士に関する基礎的データを整理・分析するものである.具体的には,①2004年から2014年にかけての10年間で,民事訴訟における代理人の有無・人数に変化があったか,②代理人の有無によって,民事訴訟結果の傾向に相違があるか,の2点を分析する.1点目の分析結果としては,民事訴訟において代理人が付いた事件の割合(裏を返せ ば,本人訴訟の割合)は,10年間でほとんど変化がなかったことがわかった.他方で, 代理人が付いた事件においては,10年間で代理人数が増加した.特に,単独受任事件の割合が減る一方で,代理人が3人以上の事件の割合が増えた.したがって,民事訴訟においては,10年間で弁護士の利用場面が拡大したというよりは,従来も弁護士が利用されてきた類の事件について,1件あたりに利用される弁護士数が増えたといえる.2点目の分析結果としては,代理人の有無の組み合わせ(双方に代理人なし,原告のみ代理人あり,被告のみ代理人あり,双方に代理人あり)によって,和解率や判決内容の傾向が大幅に異なっていることがわかった.判決内容に大幅な傾向の相違があるため,これらの相違は代理人の弁護士業務の効果のみによる産物とは考えにくい.民事訴訟事件に代理人が付くか否かは,結局のところ,当該事件の勝敗の見込みと強く関連しているのではないかと考えられる.

abstract

This Article analyzes basic quantitative data of attorneys in Japanese civil lawsuits. It addresses two issues: (i) the proportion of self-represented litigants and the number of appointed attorneys per case over the past 10 years (from 2004 to 2014); and (ii) the outcomes of lawsuits subdivided by the presence or absence of attorneys.
Regarding the first issue, the proportion of self-represented litigants has remained unchanged over the past 10 years. On the other hand, the mean number of attorneys representing one case (when litigants are represented by at least one attorney) has increased. In particular, the number of solo-attorney representation has decreased while the number of three-or-more-attorneys representation has increased.


社會科學研究 第71巻 第2号(2020-06-11発行)

(更新日: 2020年 8月 6日)