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信用保証制度の展開:日中比較研究
孫 建国 (河南大学経済学院教授/社会科学研究所客員教授)

日時:2011年 1月11日 15時-17時
場所:センター会議室(赤門総合研究棟5F)

報告要旨

 近代の日本および中国における信用制度は、経済発展にともなって、いわば内生的に形成されてきたと考えることができる。信用保証制度はこのような信用制度の形成とともに発展をとげてきた。したがって日中とも信用保証制度は、主要には私的な経済活動にかかわる制度として形成されてきた。

 しかし今日の中国における信用保証制度は、むしろ政府による制度・政策のもとで上から形成されつつある、というべきであろう。すなわち中国の信用保証制度には、制度面において一種の歴史的な断絶が存在する。他方で日本の場合、信用保証制度に対する制度・政策の関与する度合いが、近年において高まりつつある。

 今日の日中両国の経済にとって、リスク・シェアリングの問題はともに重大事ではあるが、具体的に直面する状況はそれぞれ異なる。グローバル化の時代において、信用保証制度やリスク・シェアリングの面で日中両国およびアジアの連携を実現することが重要であり、そのことは国際的にも有益である。

プロファイル

そんけんこく 孫 建国
専門分野:経済史 信用制度研究
1987年河南大学学士、1991年上海社会科学院研究生部修士課程、2005年上海師範大学博士課程を卒業した。1991年から河南大学で講師、準教授、教授として教育と研究に従事、現在、河南大学経済史研究所所長を務める。1998年9月から一年間交流留学生として日本の大正大学に留学し、2006年10月から2007年10月まで「中国政府派遣研究員」として東京大学大学院経済研究科に留学した。2010年12月から東京大学社会科学研究所特任教授に就いている。今まで中国教育部社会科学等省部級プロジェクトを4件実施した。出版した学術書は『中国企業社会責任研究』/中国統計出版社/2006、『信用の変遷:上海中国征信所研究』/中国社会科学出版社/2007、『伝統と変革:中国近代信用保証制度研究』/社会文献出版社/2009である。2001年以来、論文は『経済管理』、『中国経済史研究』、『上海経済研究』、 『河南大学学報』、『生産力研究』等の学術誌に30篇余り公表した。現在、主に日中工業化の発展と信用制度の比較研究に関心がある。


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