東京大学社会科学研究所

東京大学

MENU

研究

社研セミナー

家事分担をめぐるパートナー間のコンフリクト:国際比較の視点から
不破麻紀子(社会科学研究所)

日時:2012年 2月14日 15時-17時
場所:センター会議室(赤門総合研究棟5F)

報告要旨

 過去数十年間の既婚女性の労働市場参加率の増加に対し、既婚男性の家事労働参加は依然進んでいない。このため、就業している女性が仕事と家庭の責任を負う「セカンド・シフト」(Hochschild 1980)の問題が、多くの国で課題となっている。しかしその一方で、妻の多くは現状の夫との家事分担比率を「公平」と考えていることも明らかになっている(Wunderink & Niehoff,1997: Gager,1998)。また、家事分担をめぐる夫婦間の対立も少ない(Luppanner, 2010)。―― 家事分担の実態と女性の認識のギャップはどのようにして発生するのか?

 本報告では、3次元的「権力」の概念(Lukes, 1974; Komter, 1989;1991)を夫婦の勢力関係の分析に取り入れて、性別分業を前提とした社会環境・制度が「女性の家事分担に対する不公平感」の度合いにいかに関与するかを検討する。また、妻の不公平感と「家事分担をめぐる夫との対立」の関連について3次元的「権力」の視点から検討する。データはInternational Social Survey Programme (2002)で、分析には日本を含む33カ国を用いた。


TOP