研究
社研セミナー
法過程における社会科学の利用(と誤用)
飯田 高(社会科学研究所)
日時:2015年 6月9日 15時00分-16時40分
場所:センター会議室(赤門総合研究棟5F)
報告要旨
法的問題はすべて法律だけで解決できるわけではなく、他の学問分野の助力を必要とする場合が多い。特に、専門性の高い案件・事件の比重が大きくなっていると言われる現在、立法過程や司法過程の中で社会科学(経済学、心理学、社会学、統計学がその代表例)の知見または方法を援用する機会は増加してきている。しかし他方で、法の論理と社会科学の論理の相違を強調し、法的議論に社会科学の考え方を持ち込むことに対して警戒する見方もまた根強く残っている。
本報告ではまず、現在までに社会科学的知見・社会科学的方法が法過程――ここでは立法過程と司法過程――において実際にどのように「利用」されてきたかを概観・整理する(主としてアメリカおよび日本の法過程を扱う)。そのうえで、社会科学の発展に伴う法制度のダイナミクスの一端を描き出すことを試みる。最後に、社会科学の利用に関する問題点と今後の展望について簡単に述べることにしたい。