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「多角的貿易体制再考」(中川淳司教授最終報告)
中川淳司(社会科学研究所)

日時:2019年2月12日(火)午後4時~6時
場所:(情報学環・福武ホール 福武ラーニングシアター

※当日の詳細につきましてはこちらをご覧ください。

報告要旨

 ガットからWTOへと発展を遂げた多角的貿易体制(multilateral trading system)は、1990年代以降急速に進んだ経済のグローバル化を支える制度的なインフラストラクチャーとして機能したが、近年はその機能不全が顕著となっている。2001年に開始された多角的貿易交渉(ドーハ開発アジェンダ)は、貿易円滑化協定など若干の成果をもたらしたものの、交渉テーマの多くでは合意が得られず、行き詰まっている。他方で、主要国は自由貿易協定(FTA)を通じた貿易の自由化・円滑化とルール形成に通商政策の軸足を移している。WTOの紛争解決手続は、貿易紛争の司法的な解決手段として活発に利用されているといわれるが、その実態を仔細に検討すれば、ごく限られた数の加盟国がごく限られた争点を争う制度となっており、その役割は限定的である。
 報告では、報告者が東大に着任した1995年に発足したWTOのこれまでの歩みを振り返りながら、多角的貿易体制の機能不全の背景・原因を考察し、機能不全を打開する方策について検討したい。

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