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研究

社研セミナー

COVID-19と国際法:何が語られているか、どのように語るべきか
中島啓(社会科学研究所)

日時:6月30日(木)
※新型コロナウイルス感染への対応から、今回は所内限りでの開催となります。
場所:N/A

報告要旨

 新型コロナウィルス感染症COVID-19の世界的蔓延は、私たちの日常生活はもちろんのこと、社会科学を含めた言論空間およびその在り方にまで深い影響を及ぼしている。国際法学においてもそれは例外ではなく、インターネット上にはブログポストを含めすでに膨大な数の論考が溢れている。その内容は、人権(入国管理や移動制限、感染追跡アプリ等)、貿易(抗ウィルス医薬品アクセス等)、国際組織(世界保健機関)のガバナンス、あるいは発生源と目される中国政府の国際責任を追及する議論など、多岐にわたっている。
 (世界的に見れば)蔓延状況が収束しつつあるとは言い難い現段階においては、対策措置を講ずる主体(とりわけ各国政府及びその機関)の足枷になりかねない規範的な議論を展開するのは、内容によっては時機尚早との見方もある。他方、(国際)法(学)は、事象を理解するための認識枠組みを提供するだけでなく、事象の移り行きそれ自体を規範的に制御することにまでその問題関心を及ぼす。感染症対策の名の下に合意された法内容を制限・無視する動きがあるならば、その法的基礎を絶えず問い続けていく必要がある。
 そこで本報告では、COVID-19の世界的蔓延を背景として、国際法学において何が語られているかを概観しつつ、どのように語ることが現在進行中の感染症対策との関連で意味を持ちうるかを論じる。