東京大学社会科学研究所

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研究

社研セミナー

就業者の地位の分化/分類の比較社会学に向けて
有田 伸(社会科学研究所)

日時:2022年4月12日(火)15時~16時40分
場所:オンライン(Zoom)
参加方法:所外の方はこちらのお申込フォームからお申込ください。前日にZoomのURLを送付いたします。

(申込締切日:4月11日 16:00)

報告要旨

 日本社会における就業者の地位や報酬格差の構造には、正規雇用と非正規雇用間の大きな格差に示されるような、特徴的な側面が存在する。本セミナーでは、この問題に関する報告者の社研着任以降の研究を位置付けなおすと共に、今後取り組むべき新たな課題とその展望を示す。

 報告者はこの問題を扱う上で、就業者の地位の分化(実態)のみならず、その分類(認識枠組み)をも積極的に考察対象としてきた。社会学の発想に基づけば、これらの間には双方向的な影響関係があり、両者は不可分のものと考えられるためである。報告者はこのような立場から、これまで主に韓国などとの比較を通じ、日本社会における就業者の分類の特徴に着目し、それを起点としつつ地位・報酬の分化の実態とそのメカニズムの考察を行ってきた。

 振り返ってみれば、その試みは「他の社会には存在しないが日本には存在するもの」により強くフォーカスするものだったのかもしれない。しかし、雇用に関する社会問題の解決の道筋などまで視野に入れるならば、今後取り組むべきは、それと表裏をなす「他の社会には存在するが日本には存在しないもの」へのフォーカスとそれを起点とした考察ではないかと考えている。本セミナーではそのような視点から、スキルレベルに基づく職業分類(たとえば1988年版以降の国際標準職業分類など)の日本社会における定着の弱さに着目し、これを通じて、日本における就業機会の分化の特徴とその社会的影響についてさらに考えてみたい。


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