研究
社研セミナー
研究データ管理行動のリ・デザイン:オープンサイエンス推進の視座から
南山泰之(東京大学社会科学研究所)
日時:2025年9月9日(火) 15時~16時40分
場所:
ハイブリッド開催
(センター会議室(赤門総合研究棟 5F・詳細地図 )/オンライン(Zoom))
使用言語:日本語
報告要旨
研究データ管理(Research Data Management, RDM)とは,ある研究活動によって得られたデータの保管,加工,アクセスの方法を定め,これを実践する一連の行為である.効率的なRDMの実施は研究者にとって重要な課題であり,生命科学, 高エネルギー物理学, 材料科学, 社会科学など先行する分野では,RDMを体系的に実施するためのタスクや手順が独自に開発されている.さらに近年では,分野横断的な研究の活性化を目指すオープンサイエンスの潮流を受けて,各分野で実施されているRDMの一部を共通化し,デジタル環境として整備することへの期待が高まっている.しかしながら,各分野で実施されるRDM関連行動は他分野との互換性が乏しく,タスクや手順が断片化していたり,暗黙知になっていたりする場合が多い.汎用的なRDM環境整備に当たっては,断片化したタスクや手順を統合,明文化しながら,各分野における実践を汎化する試みを繰り返す必要がある.
このような問題認識のもと,講演者は複数分野におけるRDMの実践を実務面から分析し,より汎用性の高い形で再設計する取り組みを行ってきた.本セミナーでは,各分野の研究者によるRDM行動の分析と形式化,及び各分野のデータキュレータによるデータキュレーション活動の分析と形式化に関する試みを紹介する.さらに,形式化されたRDMの実装例として,データジャーナルの創刊と運用に関する取り組みを紹介する.

