研究
社研セミナー
職場のインクルージョンと従業員の心理的ウェルビーイング
横内陳正(神戸大学大学院人間発達環境学研究科)
日時:2025年11月11日(火) 15時~16時40分
場所:
ハイブリッド開催
(センター会議室(赤門総合研究棟 5F・詳細地図 )/オンライン(Zoom))
使用言語:日本語
報告要旨
従業員が心理的ウェルビーイングを実現し,健康でいきいきと働けることは,個人と職場の双方にとって重要な課題である。職域を対象とした疫学研究では,どのような職場環境要因が健康アウトカムにどのような影響を及ぼすのかを明らかにすることで,介入実践に資するエビデンスを蓄積してきた。職場のインクルージョンは,こうした文脈において新たに注目されるようになった職場環境要因のひとつである。
日本においても,少子高齢化による労働力人口の減少や外部労働市場の発達により,「フルタイムで働く男性社員」という画一的な従業員モデルでは企業経営が十分に機能しないことが指摘されている。組織としても,表層的・深層的レベルで多様化する従業員を前提に,それぞれが能力を最大限に発揮できる職場環境—職場のインクルージョン—の実現が求められている。
こうした背景を踏まえ,本報告では,日本の職場におけるインクルージョンが従業員のメンタルヘルスやワーク・エンゲイジメントに及ぼす影響を,主にパネル調査データを用いた分析によって検証する。また,職場のインクルージョンに関する検討を通じて,職域における疫学研究全般において関心を集めている概念的等価性,曝露とアウトカムの間のタイムラグ,従業員の主体性の問題についても考察を行う。

