研究
社研セミナー
縮む日本 ―地方と地方都市に映る、日本と東京の明日の姿、持続への道
森 知也(京都大学経済研究所)
日時:2026年4月14日(火) 15時~16時40分
場所:
ハイブリッド開催
(センター会議室(赤門総合研究棟 5F・詳細地図 )/オンライン(Zoom))
使用言語:日本語
報告要旨
本報告では、今後急速に進む人口減少下で日本の都市と地域の将来像を見通し、その変化にいかに向き合うべきかを考察する。経済現象は繰り返し観察できるデータが乏しく、予測が難しい。しかし、行政区など任意の地域単位ではなく人口集積としての都市に着目すると、都市人口分布にはべき乗則が現れ、個々の都市の人口増減パターンはこの秩序をおおよそ満たす範囲に限定される。この秩序と、都市形成の背後にある経済集積理論を組み合わせ、パラメータ制約を組み込んだ長期予測モデルを構築することで、予測に必要となるパラメータ数を大幅に減らすことができる。これにより、限られたデータの下でも理論と秩序の双方との整合性を保ちながら、日本各地の都市の盛衰を予測し、地域経済の将来像をより高い確度で見通すことが可能になる。結果、想定される人口減少の下では東京一極集中の一層の進行と地方の衰退が予測される。それは、経済集積理論の観点からは「自然な帰結」である。他方で、地方が今たどっている軌跡は、時間差をもって東京と日本全体が直面する未来を先取りして映し出す鏡像でもある。人口減少を実質的に止める見通しが立たないのであれば、私たちに求められるのは、もはや東京一極集中の是正や従来型の地方創生にこだわることではない。むしろ、衰えゆく地方が「明日の日本」を、そして衰えゆく地方都市が「明日の東京」の姿を映す鏡であるという前提に立ち、老いと自然減により衰退し消滅へ向かう大都市をいかに無理なく縮小へ導くかを問うことである。同時に、都市の核を失い拡散した地方の小都市群について、どこを残しどこを畳むのかという選択と集中を通じていかに縮約し、その自律性を保ちながら存続させるかを問うことである。本報告は、こうした「鏡としての地方」への視線から、地方都市、そして東京の縮小とどう向き合うべきかを提示する。

