東京大学社会科学研究所

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研究

社研セミナー

権威主義体制下の大規模飢饉発生:国際比較分析
安中 進(早稲田大学社会科学総合学術院)

日時:2026年5月12日 15時~16時40分
場所:

ハイブリッド開催
(センター会議室(赤門総合研究棟 5F・詳細地図 /オンライン(Zoom))

使用言語:日本語

報告要旨

 飢饉は時に膨大な犠牲者を生み出す。世界史上数多くの飢饉が生じたが、アマルティア・セン は民主主義が飢饉を防ぐ可能性を示唆した。選挙やメディアによる監視を通じて、政治リーダーが市民の飢饉発生を防ぐインセンティヴを持つことが重要だというのである。
 しかしながら、権威主義体制や植民地支配など、住民に対して十分な政治的責任を負わない体制の下で、なぜ飢饉が発生するのかというメカニズムは、十分に理論化されているとはいえない。たとえば、ソ連や中国における飢饉は尋常ならざる犠牲者を出した事例として知られ、多くの歴史研究や計量分析が存在するが、同様に住民に対する責任が限定的であった日本の幕藩体制下の飢饉との理論的連関は十分に検討されていない。本報告は、こうした空隙を埋めるべく、古今東西の事例を横断し、供給調整のメカニズムに着目して飢饉の発生を分析する。具体的には、国家や市場によって維持される外部供給目標が生産ショックの下でも下方修正されない一方で、住民の取り分が削られるときに飢饉が発生するというシンプルな数理モデルを提示し、その共通メカニズムを明らかにする。さらに、このモデルと複数の歴史事例との整合性を検討するとともに、幕藩体制下における計量分析の可能性に関する今後の見通しを示したい。


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