東京大学社会科学研究所

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社会科学研究所について

沿革

 東京大学社会科学研究所は,第二次世界大戦の敗戦後に東京大学を再生するための最初の改革として,当時の南原繁総長のイニシアティブと関係者の尽力によって設置されたものである.社会科学研究所は1946年8月,勅令第394号により東京帝国大学に附置され,所員10名,助手5名,事務部からなる5部門体制で発足した.初代の研究所長は経済学部教授だった矢内原忠雄であり,1947年2月に開所記念講演会を開催したことから,以降,2月1日をもって研究所の開所記念日としている.

 当時の我妻栄法学部長が起草したとされる「社会科学研究所設置事由」(1946年3月)では,「本研究所の企図する所は広く世界各国の法律,政治,経済の制度及び事情に関し正確なる資料を組織的・系統的に蒐集し且つこれが厳密に科学的なる比較研究を行ふにあり.」とされている.戦時中の苦い経験の反省のうえにたち,「平和民主国家及び文化日本建設のための,真に科学的な調査研究を目指す機関」(南原繁「社会科学研究所の設置について」『社会科学研究』第一巻,157頁,1947年)が構想され,日本における社会科学研究の面目を一新させることを目的に,社会科学研究所は誕生した.

 この設置目的は不変であり,社会科学研究所は以来,「正確な資料を組織的・系統的に収集すること,厳密に科学的な比較研究を実施することをつうじて,民主主義的平和国家の建設に資すること」をミッションとしてきた.「比較研究」については,下記の沿革のなかで,研究・教育活動の国際化の推進を通じて実施することが明確になっている.社会科学研究所は,現代の日本社会や世界が直面する重要課題に関して,法学・政治学・経済学・社会学という多様な分野を生かし,比較総合的な社会科学研究を展開している.

 社会科学研究所は 1946年8月に5部門編成で出発したが,次第に陣容を整備・拡大し,1967年に地域研究を重視する観点からの改組拡充計画が認められ,1973年には基礎研究部門(日本研究部門)8部門,地域研究部門(外国研究部門)9部門,合計17部門の研究所に発展した.その後1985年には学際的総合研究の一層の充実を期して大部門制への移行が認められ,比較現代法,比較現代政治,比較現代経済および比較現代社会の 4大部門 22研究分野の研究体制となった(2010年7月改組により現在4大部門は25研究分野で構成).1992年には国際化を強化すべく外国人客員部門(国際日本社会)が加わり,さらに情報化に対応する研究体制の構築が重要な課題となったことを受け,1996年に日本社会研究情報センターが附置された.

 2004年4月に東京大学が国立大学法人に移行したことにともない,社会科学研究所は,政令が定める「国立大学附置研究所」から,他の研究科・附置研究所とならんで東京大学の「中期目標」の別表に記載される大学固有の組織となった.また,当初 10年の時限組織として設置された日本社会研究情報センターは,時限組織の性格を解消し,東京大学自身の判断によって独自に設置する学内組織となった.これらの措置により,社会科学研究所は名実ともに東京大学の計画のなかに位置づけられ,人事上もセンターと研究所本体との一体運営が可能となった.

 第二期中期目標・中期計画期間(2010-2015年度)および第三期中期目標・中期計画期間(2016-2021年度)においては,附置研究所(またはその内部組織)のうち,社会科学研究所を含む「共同利用・共同研究拠点」に認定されたもののみが「中期目標」に記載されている.ただし,このような制度的位置づけとは別に東京大学では「附置研究所が大学における教育活動と大学の枠を超えて果たしている研究者コミュニティにおける役割とを再確認し,研究科と同様に必要な見直しを自主的に加えつつ,今後とも大学のアカデミック・プランの中に明確に位置づけ,発展させていくことが不可欠であると考えている」との立場がとられている.

 こうした東京大学の方針にも鑑み,2009年4月に社会科学研究所は,まず日本社会研究情報センターを附属社会調査・データアーカイブ研究センターに改組し,同時に社会科学研究所全体ではなく,このセンターを共同利用・共同研究拠点に申請し,同年6月に正式に認定された(拠点発足は 2010年4月1日).また改組にともない,旧日本社会研究情報センターのなかの国際日本社会部門を研究所本体に移行した.これにより,海外からの客員教授の受入れや英文雑誌の編集等,社会科学的な日本研究の国際的発展にかかわる事業を,研究所全体として遂行することがいっそう明確になった.共同利用・共同研究拠点は2015年度に更新認定を受け,2016年度から2020年度が第二期となり,データ提供ならびに二次分析研究の強化・拡充等を行った.しかしながら,2022年度には更新認定を受けなかったため,センターは共同利用・共同研究拠点から離脱することを決定した.一方で2018年10月から2022年度にわたり,日本学術振興会より「人文学・社会科学データインフラストラクチャー構築推進事業」の拠点機関としてセンターが認定される等,社会科学研究所は,引き続き日本の社会科学研究の推進にとって不可欠な研究組織となっている.

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