社研セミナー

利益誘導型政治の衰退
NOBLE, Gregory W.(社会科学研究所)

日時:2009年12月 8日 15時-17時
場所:センター会議室(赤門総合研究棟5F)

報告要旨

 2009年の総選挙で自民党に大差をつけて勝利した民主党は、「55年体制」で蔓延してきた既得権益とそれを所管する官僚の支配に終止符を打つと訴えた。しかし、「55年体制」は本当に不変な利益誘導型制度であったのであろうか?

 戦後日本の財政政策をみると、個別の受益者を対象に執行された支出は確かに他の先進国よりもかなり大きな割合を占めていたが、90年代半ば以来、道路、空港、農漁業等の支出が少しずつ着実に漸減しながら、福祉、教育、科学技術、治安等、特定の受益者に限らないより普遍的国内向き「公約」型(programmatic)支出の割合が絶えず増加してきた(ただし、防衛と対外援助は例外である)。この過程で、元首相の小泉純一郎は重要な役割を果たしたが、そもそも利益誘導の低下は小泉以前から始まっており、小泉後の後継者の下でも、この傾向は続いてきた。

 支出の配分の変化には、選挙制度改革が大事な要因ではあったが、ほかの要素も絡んでおり、日本だけでなく他の先進国でも、利益誘導型支出離れが見られる。

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