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社研セミナー
新規事業支援策としてインキュベーションの日仏比較
(Supporting new firm’s creation: incubation in France and Japan)
LECLER Yveline (在日フランス研究所・日仏会館研究員 東京大学社会科学研究所客員研究員)
日時:2010年 7月13日 15時-17時
場所:センター会議室(赤門総合研究棟5F)
報告要旨
1980年代ごろから世界は、アナリストたちが新産業・技術革命、パラダイムシフトと呼ぶ大きな変化を体験している。国際化や新興国の競争(特にアジアの国々)と共にニューエコノミー・知識産業の発展などがその変化の背景にあると言える。数十年来、全ての先進国はその変化が生み出した問題に取り組むために対策を取っている。その状況の中でフランスを含めてヨーロッパでも、日本でも創業に関心が高まった。けれども、80年・90年代には両国も新時代に適応するため、創業を進める様々な方策を試みたが、成果は不十分であった。その結果90年代の末に、産業政策を見直し始め、特にアメリカの成功例であるシリコンバレーを新モデルにした。
1990年代末・2000年代初め、そのモデルの導入を狙って、日本もフランスも産業政策をイノベーション政策に転換し、技術移転・共同研究・産学官連携・知的財産・インキュベーション・クラスターが新しいキーワードとなった。
発表では、その全てのキーワードを検討するのは無理なので、イノベーションを振興するために両国の取った新しい政策や施行した法律を紹介してから、インキュベーションのケースに集中する。80・90年代のサポートの仕組みや組織を参考にしながら両国の最近のインキュベーション支援の変化を検討し、面接・見学調査によってフランスと日本の主な共通点や相違点を指摘する。最後には、今までの成果を幾つかの数字で分析する。
結論として、様々な学者が示したように、資本主義のあるタイプに適応しているものが必ずしも他のタイプに適応する訳ではないので、この十年アメリカを見ていた日本もフランスも、正しい道をたどっているのかを議論してみたい。
プロファイル
レクレル イブリン Yveline LECLER
所属(日本):仏会館研究センターの政治経済の研究員、東京大学社会科学研究所や政策研究大学院大学客員研究員。
所属(フランス):リヨン大学の政治学院と東アジア研究所教授。
学歴:社会科学博士(パリ大学EHESS、1980年修了)。日本語科修士(INALCO[フランス国立東洋言語文化大学] 1975年修了)
現在:中小企業や地域活性化に関するイノベーション政策数多くの本やジャーナルでの論文を出版し、最近Asian Industrial Clusters, Global Competitiveness and New Policy Initiatives, Singapore: World Scientific.2009, Ganne Bernardと共同で編集。