社研セミナー

「政府開発援助と国際貿易」
保城 広至(社会科学研究所)

日時:2015年 7月14日 15時00分-16時40分
場所:センター会議室(赤門総合研究棟5F)

報告要旨

 ODA(Official Development Assistance: 政府開発援助)は、発展途上国(被援助国)の経済成長に貢献するために供与されるものであり、援助国側の利益に供するものであってはならない。このような利他的な規範は、いささか理想論に過ぎるかもしれない。多くの先進援助国は、自国の影響力や安全保障の確保、自国文化の普及、あるいは国連総会といった国際会議における自国票の獲得のために、ODAを戦略的に使用してきたからである。
 その中でも特に日本は、自国の経済発展――日本製品の輸出増進や資源輸入――のためにODAを供与してきた、という評価が一般的である。果たしてこのようなイメージは、どれほど現実を反映している(た)のだろうか? いわゆる紐付き(tied)援助が減少していく中で、徐々にODAと貿易との関係は薄れてきたのではないだろうか? 仮にODAに貿易効果があるとすれば、それは日本だけの特徴だろうか? さらには、援助が輸出を増進したのかどうか、あるいはその反対の因果関係は存在したのかどうか、という疑問も興味深い論点である。経済学者は主にODAの貿易効果に関心を持つ傾向があるが、政治学者はむしろODAの決定要因に分析の焦点を当てる。すなわち、貿易関係が強ければ強い国ほど、ODAの供与も増える、という因果関係である。果たしてどちらの因果の方向が、より現実に近いのだろうか。
 本研究発表では、1960年から2013年における、代表的な援助国5ヶ国(日・英・仏・米・独)と被援助国約180ヶ国の政治経済データを使用して、上記の諸点を計量的に明らかにしたい。

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