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「ディシプリンとしての憲法学・再考―『現代憲法学の位相―国家論・デモクラシー・立憲主義』(岩波書店、2016年)を題材に」
林 知更(社会科学研究所)

日時:2017年6月13日 15時00分-16時40分
場所:センター会議室(赤門総合研究棟5F)
コメント:藤谷武史(社会科学研究所)、西村裕一(北海道大学)

報告要旨

 憲法とは、いわば近代国家の標準装備である。諸国の憲法は、それらが例えば権力分立、法の支配、権利保障など立憲主義の諸原理・諸価値に支えられている限りで、内容的にある程度似通っているようにも見える。が、他方、この憲法が、各国の現実 の政治生活の中でどのようなものとして認知され、いかなる機能・役割を果たしており、憲法をめぐる人々の議論がいかに行われているかは、意外にも国ごとの差異が目につく。例えば、改憲問題や9条問題に先鋭に現れる戦後日本の憲法をめぐる議論の 磁場は、ドイツともフランスともアメリカとも大きく異なっているように見える。
 このことは、憲法をめぐる実務や、あるいは論壇等での公共の議論についてのみでなく、アカデミズム憲法学のあり方についても当てはまるように思われる。各国の憲法学は興味深い学風の多様性を示しており、それはそれぞれの国で憲法それ自体が果たす役割の相違とも一定の相関関係に立っているように見える。アカデミズムというミクロコスモスは、ある意味では社会それ自体を映し出す鏡と言いうる側面も有しているように思われる。
 本研究会は、上記のような問題意識から、ドイツ憲法学の歴史的発展と日本憲法学とを様々な角度から比較・対照することで、ディシプリンとしての憲法学と憲法のあり方について考察を試みた林知更『現代憲法学の位相―国家論・デモクラシー・立憲主義』(岩波書店、2016年)を題材に議論を行いたい。林が自らの議論の骨子について簡単な報告を行った後、コメンテイターとして藤谷武史氏(社会科学研究所、租税法・財政法)と西村裕一氏(北海道大学、憲法)の二人が批評を行い、フロアを交えて討論する予定である。

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