所長コラム
所長コラム 2025/3/17
東大社研パネル調査シンポジウム
2月28日に開催された東大社研パネル調査シンポジウムに出席しました。冒頭の所長挨拶のために呼ばれたのですが、そのまま残って報告を聞きました。社会調査にはまったくの素人ですが、取り上げられているテーマが興味深く、いろいろ考える機会になりました。
第一部は研究報告でした。3世代にわたる学歴再生産のメカニズム、男女間の賃金格差、性別役割の世代間伝達、地域の高校別の大学進学希望など、いずれも身近で、なるほどと思わされるテーマばかりでした。社会調査データからこんなにリアルな議論ができるんだと驚かされました。報告者の話し方や質問への答え方の違いも印象的で、一人ひとりの研究者の問題意識が浮き彫りになったと思います。

第二部はシンポジウム「パネル調査の未来:東大社研のプロジェクトを通じて考える」でした。社研のパネル調査を担ってこられた石田浩先生、佐藤香先生、藤原翔先生、石田賢示先生、大野志郎先生がお話になられました。20年にわたる長い期間にわたってパネル調査を続けてこられた努力に頭が下がりました。パネル調査というのは、こんなに多くの人々の努力によって支えられてきたのですね。「彼女がいない」とずっと答えてきた回答者が結婚相手を連れてきたというエピソードに微笑まされました。
宇野重規