社研セミナー

フォルクスワーゲンの工場管理と人事管理—トヨタとの比較を通じて
中村圭介(社会科学研究所)

日時:2013年 12月10日 14時50分-16時30分
場所:センター会議室(赤門総合研究棟5F)

報告要旨

 トヨタ生産方式はlean(ぜい肉のない)で高い生産性を可能にする生産方式であると言われてきた。同じく自動車を生産するGMやフォルクスワーゲンの生産方式とどこがどう違うのだろうか。高い生産性を生み出す背景には何があるのか。こうしたことを知りたくて、フォルクスワーゲンとトヨタの比較調査を、ドイツ人研究者1名と日本人研究者2名からかる混成チームによって、3年間にわたって行ってきた。焦点は工場管理と人事管理(とりわけ報酬と教育訓練)に当てた。ドイツ人研究者がトヨタを、日本人研究者がフォルクスワーゲンを「わかろう」とした。

 セミナーでは発見した諸事実のうち、トヨタと比較したときに興味深いと私が考える、フォルクスワーゲンの特徴を報告しようと思う。たとえば、フォルクスワーゲンの工場管理の厳格さはトヨタに比べてかなりの程度、緩い。職場の第一線監督者であるマイスターの日々の目標の中で最も重要なものは生産計画の達成である。トヨタでは当然のことであって、ほとんど重要な目標として意識されることはない。フォルクスワーゲンの最終組立ラインで働く労働者には必要な職業資格はない。組立ラインにとどまるかぎり、報酬はあまり上がらない。トヨタでは職能資格が上がり、高い資格の労働者が職場の圧倒的多数を占めるのとはまったく異なる。

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