東京大学社会科学研究所

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研究

所員の著書

大内伸哉・川口大司/編著 山本陽大・川田恵介 他(著)
『解雇規制を問い直す ―― 金銭解決の制度設計 』
(有斐閣, 2018年2月)

2018.10.25更新

解雇規制を問い直す
はしがき
執筆者紹介
凡例

序章 解雇規制とは何か
いま,「問直す」ことの意義[大内伸哉・川口大司]

第1節 許されうる解雇と許きれない解雇
第2節 無効ルールと金銭解決ルール
第3節 解雇規制と雇用終了コスト
第4節 制裁と 予防という視点からみた解雇規制
第5節 本書の目的
第6節 本書の構成


第Ⅰ部 解雇規制をめぐる状況

第1章 なぜ金銭解決ルールが必要なのか
日本型雇用システムの変容[大内伸哉・川口大司]

第1節 日本型雇用システムと解雇権濫用法理
第2節 日本型雇用システムとアダプタビリティ
第3節 日本型雇用システムの変容とアダプタビリティの低下
第4節 日本法の解雇規制の課題
第5節 雇用の流動化と金銭解決
第6節 金銭解決ルール導入のメリット
第7節 金銭解決ルールを論じる際の観点
第8節 金銭解決ルールの法制度設計上の論点
補論1-1  判例解説


第2章 解雇規制をめぐる議論の動向
金銭解決の問題を中心に [山本陽大]

第1節 はじめに
第2節 第1期:解雇権濫用法理の確立から解雇ルールの立法化へ
2.1 長期雇用システムと解雇権濫用法理
2.2 解雇の金銭解決をめぐる労働法学の議論
2.3 判例法理に対する経済学からの批判
2.4 規制改革と解雇ルール
2.5 労働法学の反応
2.6 解雇ルールの立法化論
第3節 第2期:2003年労働基準法改正をめぐる審議
3.1 労働政策審議会・労働条件分科会における審議
3.2 労働法学説からの評価
第4節 第3期:労働契約法の成立過程
4.1 「今後の労働契約法制の在り方に関する研究会」報告書
4.2 労使団体からの意見
4.3 労働法学説からの評価
4.4 労働政策審議会・労働条件分科会における審議
第5節 第4期:第二次安倍政権の発足から現在まで
5.1 規制改革会議(雇用ワーキング・グループ)における議論状況
5.2 産業競争力会議における議論状況
5.3 「透明かつ公正な労働紛争解決システム等の在り方に関する検討会」 報告書
第6節 まとめ


第Ⅱ部 解雇法制の国際比較

第3章 OECDによる解雇規制指標と日本の解雇規制
[川口大司・山本陽大]

第1節 はじめに
第2節 解雇規制とマクロ経済
第3節 OECD による解雇規制指標を用いた国際比較分析
第4節 解雇規制とミクロ経済
第5節 解雇規制の測定と実証分析
第6節 OECD 指標の作成過程と日本の実態
6.1 解雇の手続面
6.2 解雇手当の額
6.3 不当解雇の定義
6.4 試用期間の長さ
6.5 不当解雇の際の救済
6.6 出訴期間の上限
6.7 総合スコアの計算
6.8 まとめ
第7節 おわりに
付録 OECD解雇規制指標の再検討


第4章 各国の解雇法制
比較法からのアプローチ

第1節 はじめに[大内伸哉]
第2節 ドイツ法[山本陽大]
2.1 ドイツにおける解雇規制と金銭解決制度
2.2 解消判決制度
2.3 裁判上の和解による金銭解決
2.4 解雇制限法1a条
2.5 社会計画制度
2.6 ドイツ法のまとめと特徴
第3節 スペイン法 [高橋奈々]
3.1 スペインの解雇法制と金銭解決制度
3.2 近時の傾向と課題
第4節 アメリカ法 [小西康之 J
4.1 アメリカにおける解雇に関する規制
4.2 失業保険制度
4.3 その他の退職時における所得保障制度:
  退職金・私的年金の早期引出し
4.4 検討
第5節 その他の国の解雇法制
5.1 フランス [山本陽大]
5.2 イタリア [大内伸哉]
5.3 イギリス [山本陽大]
5.4 オランダ [本庄淳志]
5.5 ブラジル [小西康之]
5.6 中 国[烏蘭格日楽]
5.7 台 湾[大内伸哉]
第6節 まとめと合意 [山本陽大]


第Ⅲ部 解雇法と金銭解決ルールの経済分析

第5章 経済学は解雇をどう捉えてきたのか 
[川口大司・安藤至大]

第1節 はじめに
1.1 解雇を捉える 3つの視点
1.2 労働者の技能の特性
1.3 雇い主と労働者の聞の情報の非対称性
1.4 労働市場における摩擦
第2節 ベンチマークとしての完全競争市場における短期的取引
2.1 繰り返されるスポット契約
2.2 生産性の変化と転職・解雇
2.3 コースの定理
2.4 技能形成のための投資費用の負担と収益の分配
2.5 解雇と消費変動リスク
2.6 一般的技能と完全競争を前提としたときの解雇に対する評価
第3節 企業特殊的な技能と解雇規制
3.1 企業特殊的な技能に対する雇い主と労働者の共同投資
3.2 不完備契約
3.3 不完備契約を補完するメカニズム
3.4 事前のコミットメントと事後的な柔軟性:ボーナス支払と就業規則の不利益変更
第4節 賃金後払い契約と解雇規制
第5節 前提によって異なる解雇規制の意義


第6章 望ましい金銭補償の決定に向けて
完全補償ルール  [川田恵介・川口大司]

第1節 解雇はなぜ規制されるべきなのか
1.1 経済学からみた解雇規制:雇用終了コスト
1.2 解雇規制の手法
第2節 解雇原因の分類
第3節 解雇規制を検討するうえでの視点
3.1 4つの視点
3.2 リスク・シェアリングの視点
3.3 雇い主の一方的な契約破棄を防ぐ視点
3.4 労働移動の視点
3.5 所得分配の視点
3.6 完全補償ルールの提示
3.7 採用活動への影響
第4節 インセンティブ設計の視点
4.1 モラルハザードの回避
4.2 解雇原因の発生に雇い主の寄与がある場合
4.3 解雇原因の発生に労働者の寄与がある場合
4.4 解雇原因の発生に労使双方が寄与している場合
4.5 完全補償ルールと寄与の構造
第5節 完全補償ルールの限界
5.1 労働市場の機能不全
5.2 雇い主の支払制約
5.3 労働者の心理的コスト
第6節 まとめ

第7章 完全補償ルールに基づく補償金額の算定
[川田恵介・川口大司]

第1節 はじめに
第2節 解雇による金銭的損失の源泉と金銭的損失の算出構造
第3節 補償金額の試算結果
3.1 推計の方法
3.2 賃金と勤続年数
3.3 解雇による損失の割引現在価値
3.4 新卒で入社した企業で解雇されるケース
3.5 現在の雇い主での就業開始年齢
3.6 割引率
3.7 企業規模の考慮
3.8 ドイツとの比較
第4節 本章の議論の限界と合意
4.1 実証的推論上の問題
4.2 理論的な問題
4.3 労働者や企業の異質性の問題
4.4 政策的合意
補論7-1 ミンサー型賃金関数
補論7-2 将来の離職可能性を考慮した推計
補論7-3 金銭補償額推定モデルの詳細


終章 新たな解雇規制に向けた提言
[大内伸哉・川口大司]

第1節 問題の確認
第2節 外国の状況
2.1 OECDの解雇規制指標
2.2 比較法分析
2.3 無効ルールはどこまで適用されるべきか
第3節 経済学からみた解雇規制
3.1 理論的考察
3.2 完全補償ルールに基づく補償金の試算
第4節 法改正の提案
4.1 前提的考察
4.2 モデル条文の提示と解説
4.3 解雇保険構想
4.4 改正提案に対して予想される反論の検討
第5節 目本型雇用システムと解雇規制
第6節 おわりに


事項索引
条文索引
判例索引


Column一覧

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  • 企業の裏切り行為に関する評判のメカニズム
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  • 退職金とインセンティブ
  • 解雇法制の3つの分類
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