『社会科学研究』第58巻第1号

1990年代日本の社会科学―自己反省とその継承―
Transformation of Japanese Social Sciences in the 1990s
宇野重規/UNO Shigeki

Keywords: 社会科学, マルクス主義, 日本資本主義論争, 総動員体制, 日本的なるもの,

抄録

 90年代前半には, それまでの「社会科学」像を支えていた認識枠組みそのものを問い直す動きが活発化した.本稿は, このような動向を, 1993年から94年にかけて刊行された『岩波講座 社会科学の方法』の諸論文を素材に検討する.その際, 重要な論点となるのが, 戦後社会科学の初期条件であり, とくに日本資本主義論争と総動員体制の影響をめぐる諸議論を検討する.また, その時期に設定された, 「近代西欧」との対比で「日本」を論じる問題意識についての批判的考察についても, 検討する.これに対し, 「社会学の時代」と称されることのある90年代後半以後における社会科学の展開は, 90年代前半における社会科学の見直しの結果と必ずしも直結していないことを論じた上で, 最後に, 両者の成果を結びつけ, 社会のトータルな把握とそれに基づく批判的な知的営為としての社会科学という課題を提示する.

abstract

This paper aims to consider several features of the transformation of Japanese social sciences in the 1990s. For this purpose, I examine articles of "Shakai Kagaku No Hoho (Methods of Social Sciences)", an anthology of representative contemporary Japanese social scientists, published in 1993-94. The themes discussed eagerly in these articles are the initial conditions of Japanese social sciences after the second world war : influences of the Controversy on Japanese Capitalism, inheritances of the War. Regime, and the dichotomy of Japan and Western Modernity. However, the results of these discussions were not fully developed in the latter half of the 1990s and still remain to be utilized today. I discuss lastly several goals to be achieved by Japanese social sciences today.

社會科學研究 第58巻 第1号(2006-09-30発行)

(更新日: 2012年 11月 2日)

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