『社会科学研究』第58巻第3・4合併号

日本不動産業の史的研究とその成果 ― 『日本不動産業史:産業形成からポストバブル期まで』が明らかにしたもの―
Accomplishment of Historical Research of the Japanese Real Estate Industry
橘川武郎/KIKKAWA Takeo

Keywords: 不動産業, 史的研究, 開発機能, 取引費用削減機能, 資産効果経営,

抄録

 これまで日本の不動産業に関する史的研究が十分な成果をあげてこなかったのは, (1)不動産は非常に差別化された財であるため, 不動産価格の動向を把握することが困難である, (2)不動産業の分析に当たっては, 多様な要因を考慮に入れなければならない, (3)不動産業の担い手の実態を総合的に把握することは難しい, などの理由による.本稿では, これらの難題に挑戦した最新の研究成果である『日本不動産業史 : 産業形成からポストバブル期まで』(仮題, 編者 : 粕谷誠・橘川武郎, 名古屋大学出版会から近刊予定)の内容を紹介し, 日本不動産業がこれまで歩んできた軌跡とこれから進むべき方向性を概観する.今日, 日本の不動産業は, 「資産効果経営」(地価上昇に依存した経営)から脱却し, 実需に立脚した本来の経営に回帰するという, 歴史的な転換点に立たされている.ここで言う本来の機能とは, 不動産に関する開発機能と取引費用削減機能という, 明治期以来不動産業が発揮してきた, 二つの固有機能のことである.このような本来の姿に立ち返ることなくして, 日本不動産業の未来は, 切りひらけないであろう.

abstract

The purposes of this article are to introduce contents of the forthcoming book, "Nippon Fudosan Gyo Shi [The history of the Japanese Real Estate Industry]" (Kasuya, M. and T. Kikkawa, eds., University of Nagoya Press, tentative title), and to view the future of the real estate industry in Japan. The book, covering the whole period from the beginning of the industry in the Meiji Era to today after the collapse of the bubble economy, is a very new result of jointly academic research composed of economics, business administration, and sociology. The Japanese real estate industry is now passing a turning point. It is experiencing the change from management depending on a rise in land prices to that based on actual demands. The history of the industry teaches lots of lessons for its future.

社會科學研究 第58巻 第3・4合併号(2007-03-09発行)

(更新日: 2012年 11月 2日)

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