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社研卒業生の現在(いま)

三輪 哲 さん

現在東北大学大学院教育学研究科でご活躍の三輪哲さんに、社研在籍当時や最近のご様子についてお話を伺いました。

三輪哲さん
プロフィール

三輪 哲(みわ さとし)

東北大学大学院教育学研究科(准教授)
※インタビュー当時(下記参照)

専門分野:社会階層・移動、社会調査法

社研在職期間:2005年4月~2009年3月

助手 (2005.04-2006.10)
助教授(2006.11-2007.03)
准教授(2007.04-2009.03)


追記:

東京大学社会科学研究所
附属社会調査・データアーカイブ研究センター 
准教授 (2015.10.01- )

 いつも駆け足で走っていた、というのが、在任当時に関してまず思い出される印象です。私が社研の附属日本社会研究情報センター(当時、現・附属社会調査・データアーカイブ研究センター)に着任したのは、2005年の春でした。引継ぎ等をするために訪問をしてみたところ、前任者や隣接研究室の某助手たちからずいぶん脅かされたことが忘れられません。そんな厳しい職場なのかと不安がよぎりました。

 最初に携わったのは、SSJデータアーカイブの業務でした。もともと社会調査データを用いた計量研究をしていたこと、諸外国の話を聞きデータアーカイブの役割に敬意をもっていたこと、二次分析の有用性を広めるセミナーに参加していたことなどから、喜びかつ誇りをもって働いていました。でもその頃は、担当の助手(当時)が1人しかおらず、学位論文もまだ執筆中で、なおかつ事務局をつとめていた大規模調査がおこなわれているのが日常という、きわめて苦しい状況でした。嗚呼もうダメかもと幾度思ったことか。データアーカイブ担当の助手が2人体制になったときに、これで生きていけると思えました。

 転機が訪れたのは2006年の秋です。主たる業務が、パネル調査の企画・設計・運営に変わりました。今なお続くJLPSです。社会調査の経験は比較的多いほうでしたが、パネル調査に携わるのはまったく初めてでした。それでも、不安以上に期待がとても大きく、面白がっていろいろ学びながら取り組めました。その直前に、ミシガン大学ICPSRのセミナーで、2種類のパネルデータ解析の分析技法を学ばせてもらったのも大きかったと思います。データ管理に関しても、毎年データが累積されていくなかでこそ起こりうる問題に、いろいろ直面しました。困った時でも頼りになる同僚がおり、相談・議論しながら前進していく過程が楽しく感じられました。

 その後2009年春に東北大学へと移り、現在に至ります。今は、自身の研究と、学部生と院生の教育が、仕事の中心です。そのように社研在籍時とはまったく違う大学教員生活を送りつつも、社研で培った「何か」が自分の支えになっていることにしばしば気付かされます。データアーカイブの業務に携わり、それがもつ公共性の高さ、研究上の倫理や社会的責任に対し、より自覚的になりました。パネル調査の経験は、研究着想や視角を劇的に変えるとともに、仕事や人間関係の幅も拡がり、私にとって重要な跳躍台となっています。

 データアーカイブとパネル調査を中心に社研在職当時の話を述べましたが、その2つが、日本の社会科学では、この10年に大きく進展した分野であることを忘れてはならないでしょう。社会科学における計量研究の発展の最前線にいたといってもよいわけで、在職した4年間について非常に充実した日々だった、と振り返るのはあながち嘘ではありません。たとえそれが、常に駆け足で走ることを余儀なくさせるものだったとしても。

どうもありがとうございました。社研での経験を生かされて、ますますご活躍されますようお祈りしています。

(2011年9月27日掲載)

最近、嬉しかったことは何ですか?
三輪哲さん2歳になる子どもがウィンナーソーセージを分けてくれたこと!
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