社研卒業生の現在(いま)

上神 貴佳 さん

現在、高知大学人文学部でご活躍の上神貴佳さんに、社研在籍当時や最近のご様子についてお話を伺いました。

上神貴佳さん

プロフィール

上神 貴佳(うえかみ たかよし)

高知大学人文学部社会経済学科(准教授)

専門分野:政治学、現代日本政治論、政治制度・政党研究

社研在職期間:2004年4月~2008年3月

助手(2004.04-2007.03)
研究支援推進員(2007.04-2008.03)

 社研には4年間、在籍いたしました。最初の3年間は助手として、最後の1年間は研究支援推進員として、です。

 ただ、社研との出会いは、それよりずっと前のことです。学部2年生であったとき、樋渡展洋先生の講義を受講いたしました。3年生の時には、先生が大学院で開講しておられたゼミにも参加いたしました。その関係だったでしょうか、本をお借りするために、先生の研究室(当時は別の場所にあったと記憶しています)にお邪魔したのが、最初の社研訪問でした。

 大学院に進学後は法学部の佐々木毅先生に指導教官をお引き受けいただきました。私の関心は政治経済学から政党や政治制度の研究に移っていきましたが、佐々木先生が総長に就任されたのを期に「里子」に出されて、再び樋渡先生のお世話になったのです。それからしばらくして、私は博士課程を満期退学し、日本学術振興会の特別研究員(PD)になりました。しかし、私の机と本棚は依然として法学部4号館にあり、図書室と先生の研究室にうかがう以外、社研との関わりはそれほどでもありませんでした。

 それが一変したのが、社研の助手に採用していただいた後のことです。樋渡先生やグレッグ・ノーブル先生、のちに社研に異動される前田幸男先生と科研費の共同研究をつうじてご一緒させていただきました。政治制度と政治アクターの関係を一対一とみなしてきた従来の研究に対して、アクターを取り巻く複数の制度がおりなす相互作用の影響を解明するという、一見当たり前のようですが、画期的な共同研究でした。また、全所的プロジェクト研究「希望学」に参加させていただきました。助手の土田とも子さんが研究室にいらして、「あなたにとっての希望とは」というようなテーマでインタビューを受けたことが始まりでした。

 その後は、玄田有史先生、中村尚史先生、宇野重規先生の薫陶を受け、まずは釜石市でのフィールド調査に取り組みました。アンケートとインタビューにより、釜石市議会を研究することが私の課題でした。現場で格闘している人たちとの対話から直接、間接に問題意識や気づきをずいぶんともらいました。それらを一般化することで学術的な貢献を目指す、「希望の社会科学」という新しい研究領域が生まれるプロセスに参加できたのは得難い経験でした。社会科学のさまざまな分野の研究者が一つのフィールドを共有し、ともに研究を進めるというのも、社研の真骨頂なのではないかと思います。

 助手の任期が3年で切れた後、研究支援推進員という立場で希望学の事務局機能を分担しながら、1年間、社研に留まりました。先述の土田さんや竹内優子さん、佐藤由紀さん、このコーナーに登場済みの石川耕三さんといった事務局の仲間たちに囲まれて、楽しい日々を送っておりました。

高知城

写真:高知城:追手門から天守閣を望む

かつおのたたき

写真:高知と言ったらカツオのたたき




 その後、縁あって現在の職場である高知大学に赴任することになりました。後ろ髪を引かれるとはまさにこのことでした。こうして社研を「卒業」した訳ですが、その後も希望学の福井調査、つぎの全所的プロジェクトであるガバナンス研究に参加させていただいております。昨年、社研のみなさんと調査のため福井にうかがうことができました。五百旗頭薫先生と三方五湖の展望台に上ったのもよい思い出です。ただ、育児が忙しくなり、研究会になかなか参加できなくなってしまったのが残念です。いまは、嶺南の地方議員を対象とするアンケート調査を分析している最中です。

 高知では学部学生の指導という、研究一辺倒であった社研時代にはなかった新たな課題にも取り組んでいます。勤務先はゼミによる少人数教育を重視しており、卒業論文が必修なので年末は忙しくなります。ただ、これまでに2回、ゼミ生の卒論が「学科最優秀」として表彰されるなど、やりがいも感じています。また、現役の政治学者が県下に二人しかいないため、選挙などのたびに地元メディアの取材に応じるのも仕事のうちです。しかし、テレビの取材に対応するのはなかなか難しいです。地元局のインタビューを受けた際、「自治体の首長(くびちょう)が」とお話ししたところ、私の滑舌がよくないせいでしょう、あろうことか「組長が」と画面にテロップを付けられてしまったのは、いまでは笑い話です。

地元メディアでご活躍とはすごいですね!政治学者としても教育者としてもお忙しい時期に、インタビューに応じて頂きありがとうございました。

(2012年12月21日掲載)

最近、嬉しかったことは何ですか?
高知駅前の坂本龍馬像ゼミ生の就職が無事に決まったことと、新聞社に 就職した元ゼミ生が自分の記事を書いてくれたことです。
(2012/12/16 日経新聞4面「あなたの1票中学生も注目」沼口祐季記者)

写真:高知駅前の坂本龍馬像(複製):高知の青年よ、大志を抱け!

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