諮問委員会

第2回 諮問委員会議事要旨

Ⅰ.諮問委員会の開催日時および出席者


日時 2009年4月6日(木)14:15〜16:50
場所 社会科学研究所センター会議室
出席者 淡路剛久 委員 (早稲田大学大学院法務研究科教授)
伊東晋 委員長 (有斐閣アカデミア社長)
絵所秀紀 委員 (法政大学経済学部教授)
間宮陽介 委員 (京都大学大学院人間・環境学研究科教授)
欠席者 田中愛治 委員 (早稲田大学政治経済学術院教授)
列席者 末廣昭 所長
中村圭介 副所長
平島健司 協議員
佐藤岩夫 協議員
小森田秋夫 前所長
田嶋俊雄 前協議員
石田浩 前協議員
陪席者 米谷栄治 事務長、門馬清仁 庶務分野チームリーダー、佐藤弘美 庶務分野サブリーダー

 議事に先立ち、委員長に伊東委員が互選された。

 まず、末廣所長から前回の動きとして、第1回諮問委員会、国外委員の意見を集約した概要の冊子作成及びホームページ掲載の対応を行ったこと、併せて法人評価の結果を報告。また、研究所の組織体制、活動について今後の方向性を説明した。

Ⅱ.委員からの意見、感想と社研の回答、意見、感想


1.社研の対外イメージと広報活動

1)諮問委員

○社研はいろいろな活動を行い、研究成果も挙げている。ところが、その活動なり成果が外には見えにくいし、伝わってこない。専門家の間では社研の認知度は高いかもしれないが、一般的な認知度は低いのではないか。

○広く、所外や学外の機関と共催でシンポジウムとかワークショップを頻繁に開催するのはどうだろうか。

○たとえば日本学術会議などと共催でシンポジウムを開催するなども、社研の認知度を高める上では効果的ではないか。

○ただ、外部の「誰」に向けてアピールするのかが問題であろう。一般市民向けのシンポジウムなどは文部科学省には評価されるかもしれないが、「悪しきポピュリズム」に陥りかねない。逆に、研究者やアカデミズムだけを対象とすれば文部科学省からはあまり評価されない。双方に配慮せざるをえないというのが、外部評価にさらされている日本の大学、研究所の現状である。

2)社研スタッフ

*学外の研究機関とのシンポジウム、ワークショップの共同開催は既に行っている。あるいは社研のシンポジウムなどに所外の研究者を招くことなども行っている。だが、日本学術会議とのシンポジウムの共催などの試みは考慮に値するかもしれない。

*広報活動に戦略性をもたせる必要があるかもしれない。具体的には文部科学省などの官庁向け、全学向け、研究者向け、そして一般市民向けというように対象を分けて、それぞれにふさわしい広報活動を考えることが必要かもしれない。

*いま、どこに向かって社研をアピールしなければいけないのかがよくわからない。対象がわかれば、アピールの方法も考えられる。

*学術上の成果や達成の度合いは評価する側に任せるしかなく、自己宣伝に汲々とするのは潔しとしないという考えもある。

2.大学評価・学位授与機構の法人評価について

1)諮問委員

○法人全体が対象であった法人評価も途中で変わり、部局ごとの教育研究が評価対象になった。書類の量も含め、事務処理作業が多く、全国の大学は法人評価への対応で膨大な時間とエネルギーを今回使い、「評価疲れ」の状態にある。

○機構が、評価対象機関が提出した「現況調査書」をもとに評価しているが、評価基準など根拠を開示していないので、改善のしようがない。

○評価といいながら、対象機関の「現況調査書」の記述が大きな影響を与えていそうだ。過大な自己評価が高い評価につながり、逆に、謙虚な申告が低い評価につながっている。

○社研の年報、刊行物、雑誌等についての活動は高く評価できるが、法人評価には反映されていないように思える。レフェリー制度が確立している英文雑誌(SSJJ)は画期的で質が高いが、これもまた法人評価に反映されているのだろうか。

○この「諮問委員会」のような活動は今回の法人評価では正当に反映されているのだろうか。

2)社研スタッフ

*本部経由で大学評価・学位授与機構の「アンケート調査」に次のように回答した(小森田前所長名)。大学の各部局や研究所はそれぞれ性格やミッションが異なっており、画一的な指標で評価するのは適切ではない。評価基準を明記せず、評価結果についても質問や反論の機会を与えていないのは問題である。「現状調査書」の設計が理系を中心に作成されており、文系の研究活動になじまない。

*学内外の評価要求には対応せざるを得ないが一喜一憂すべきではないだろう。外部評価向けの自己評価は「作文」と割り切り、積極的に自己をアピールしてもよいかもしれない。ただし、将来に向けての「約束」「責任」ということであれば、慎重に対処する必要がある。

3.組織の研究、個人の研究

1)諮問委員

○社研の研究活動についての話を聞くと、共同研究や全所的プロジェクトなど組織的な活動についての説明は多い。一方、個人の研究はどうなっているのか。社研全体のプロジェクトに比べて、個人研究の印象は薄い。個人の研究時間と余裕を確保することは研究所にとって重要ではないのか。

○共同研究、委託研究、研究基盤の整備維持など社研の活動は非常に活発だが、日常の個人研究に影響がないのか。組織的研究に参加することによって個人の研究が活性化すればよいが、スタッフは負担に感じてはいないか。

○組織の共同研究と個人研究のすり合わせは重要であるが、これが実は難しい。共同研究への参加が個人の研究にプラスになればよいが、必ずしもそうはならない。結局は、共同研究や全所的プロジェクトの「テーマ」の設定如何にかかっている。

○社研はバランスよくいろいろな分野の研究者を配置しているが、特色という点から見ると個人個人が見えにくい。将来に向けて、ある種、戦略的に偏った研究者を集めるのも一つの方法である。あるいは違う領域の研究者を集めて、「テーマ」で総合化し、共同研究で特色を見せるという方法もある。もっとも時流やテーマに流される恐れもある。

2)社研スタッフ

*第1回諮問委員会では「個人の研究」は取り上げられなかったが、今回はこの点が前面に出された感じがある。

*江川雅子理事との懇談会でも、同じく「個人の研究」について言及された。江川理事は、研究所のコア・コンピタンスはつまるところ「研究者個々人の能力とその研究水準に依存する」との意見を述べた。

*社研は従前より個人研究(専門分野の基礎研究)に相応の重要性を付与しており、優れた研究成果も多く生み出されている。その位置づけに何らかの変更を加える必要はないと思うが、個人研究の内容を社研の活発な研究活動の特徴として積極的にアピールしていくことは有益であろう。

*今回の希望学は全所的プロジェクトと個人研究の組み合わせがうまくいった例だといえる。個々人の研究者の新しい関心や研究を引き出すことにかなり成功した。

*全所的プロジェクトやさまざまなプロジェクトを優先するだけではなく、ときには「民力休養」の観点も必要であろう。

4.全所的プロジェクト、社研のブランド・アイデンティティ

1)諮問委員

○全所的プロジェクトのような継続的な共同研究方式は、他の大学に見られない「社研の文化」である。ぜひ続けていってほしい。

○社研というブランドをどこに求め、どのように創るのかが重要である。

○マルクス経済学の社研、福祉国家の社研、調査の社研、地域研究の社研などなどが諮問委員からみた社研のイメージである。このイメージからかい離しすぎないようにするとイメージしやすい。

○社研らしい研究スタイルをアピールする。福祉国家や希望学などはその意味でわかりやすい。

○調査からオリジナルなデータを創り出しているのは強みである。

○社研のイメージを対外的に打ち出すためには、データ集のようなものを継続的に編集、刊行していくという方法もある。

2)社研スタッフ

*会社主義の社研もあるし、また若い研究者にとってはデータ・アーカイヴ、パネル調査の社研というイメージの方が強いのではないか。

*所員の問題関心も社会科学としての課題も拡散している現在、全所的プロジェクトのみに社研のアイデンティティを求めるのは難しい。しかしそれだけに、全所的プロジェクト、競争資金による大型プロジェクト、委託研究、基礎的研究との間の関係や役割分担について、もっと明確にする必要がある。

*全所的プロジェクトのテーマを、そのときどきの時代の課題に合わせるのではなく、共同研究を継続することで「目に見えるアセット」として蓄積し、結果的にその研究のアセットが社研のブランドになっていくことが望ましい。

*社研の研究体制の捉え方A 現代日本の社会科学的研究のベースラインを提供する研究所であり、「プロジェクト型」(全所的プロジェクトを中心)と「インフラ型」の両者に軸足を置く。

*社研の研究体制の捉え方B 現代日本社会(現代世界)が直面する課題の継続的解明を、①基礎的研究(法学、政治学、経済学、社会学による理論・歴史・国際比較からの研究)、②研究インフラ(データ・アーカイヴ、日本研究の図書収集、アジアなどの資料収集)、③調査(社会調査=パネル調査、地域密着調査、外国での実態調査)の三つの柱で支えていく。

*全所的プロジェクト、調査と歴史、データ・アーカイヴなど、とにかく何でも店頭に並べておいて、顧客の幅広いニーズに応えるか、品物をひとつかふたつに絞って、顧客のもとに出向いて売り込むのか。どちらに重きを置くのかによって社研のブランド・アイデンティティの売り込み方は違ってくる。

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