スタッフ
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藤谷武史 (FUJITANI Takeshi)
所属部門 | 比較現代法部門 教授 |
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専門分野 | 租税法・財政法・行政法 |
fujitani[at]iss.u-tokyo.ac.jp
[at]を@に置き換えてください。 |
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個人ページ |
経歴
2012年4月 - 2019年3月 |
東京大学社会科学研究所 准教授 |
2019年4月 - | 東京大学社会科学研究所 教授 |
研究テーマ
- 1財政法の理論的再構築
Institutional Analysis of Public Finance Law - 財政法制度を手続的法規範の体系として静態的に捉えるのではなく、財政運営に関与する諸主体の戦略的行動を媒介しつつ枠付ける「制度」(比較制度分析の意味における)として把握しつつ、その中で改めて法の「規範性」が持つ機能的意味を解明する。さらに、ミクロ経済学・マクロ経済学の知見を取り入れつつ、「国家と市場を媒介する貨幣的現象である広義の「財政」を対象としこれを規律する法」として、(従来の意味における)財政法と租税法を統合する新たな体系を探究する。
- 2グローバル化の下で変容する統治と法の関係の基礎理論構築
Reframing Public Law/Private Law Dichotomy in the Context on the “Globalization and Law” - 経済社会のグローバル化に伴い、トランスナショナルな規制ないしガバナンスが台頭しつつあるが、主権国家を基軸として構成されてきた法および法学は、こうした新たな現象を把握し規律する概念や枠組みを十分な形では獲得できていない。グローバル化しつつ機能領域に断片化する社会を規律する様々な「規範」の中で「法」はいかなる地位を占め、実効性を主張しうるか。国境を越え公私を横断するネットワークにおける私的な規範形成や紛争解決が存在感を増す中で、これらに依存して行われる統治の正統性はいかに担保されうるか。国内外および他分野の法学研究者との共同研究を通じて、「法」という社会管理のモードの本質と、特に「政治的なるもの」との関係について考察を深めたい。
- 3租税法の私法的基礎の探究
Private Law Foundation of Tax Jurisprudence - 租税法が経済的成果(所得や消費)への課税を行う上で、経済的成果を法的に定義し捕捉可能とする課税要件の設計と解釈は根幹的な重要性を持つところ、この課税要件の設計・解釈は私法概念と密接な関係を有している。本研究では、(抵触法的観点も意識しつつ)租税法における私法概念の位置づけについて、従来の「租税法と私法」論をさらに深化させることを目指している。
- 4国際課税の法と政策
International Tax Law and Policy - 近年、国際課税の領域ではG20/OECDを中心とする新たな秩序形成への動きが急であり、国際的なタックスプランニングへの国内法的対応の必要等、狭義の国際課税の領域にとどまらないインパクトを国内租税法秩序にもたらしつつある。その一方で、経済の一段のグローバル化を背景に、企業のニーズを反映した租税条約上の仲裁制度の広がりや、外国私法および租税法が国内租税法の解釈・適用において参照されるような場面も増大しつつある。本研究では、国際租税法の規範形成の現代的変容に着目しつつ、これらの現象を説明しうる新たな法理論の提示を目指している。研究テーマ(2)の各論としての性格を有するとともに、外国私法の参照という意味では研究テーマ(3)とも密接に関わる。
- 5非営利組織の税制とガバナンス
Taxation and Regulation of Nonprofit Organizations - 助手論文以来の研究テーマである非営利組織の税制を、これら組織のガバナンスの問題と絡めて検討することで、組織に対してfinancial stakeを持つ外部者(税制優遇や補助金を与える国家も含まれる)の関与のあり方を組織のガバナンス制度に如何に組み込むか、を検討する。特に、信認関係(fiduciary)を基礎とする信託法理との関係(同法理の経済学的基礎付けも含め)につき関心を有している。研究テーマ(1)の各論としての性格も有する。
主要業績
- 「寄附者によるチャリティ財産への支配の継続について ― 研究ノート」『金融取引と課税(6)』(トラスト未来フォーラム研究叢書)、2024年3月、69-93頁
- “Japan - Still Hesitant Towards Environmental Tax ?”, in Marilyne Sadowsky (ed.), Fiscal Policies to Mitigate Climate Change (IUS Comparatum - Global Studies in Comparative Law) (Intersentia, 2023), pp.439-457
- “Missing the point: facts and rhetoric about Japan's fiscal crisis” in James Babb & Takashi Iida (eds.), Dealing with Crisis: The Japanese Experience and Beyond (Edward Elgar, 2023), pp.130-153
- 「コロナ禍における財政の変容と財政法の課題」『法律時報』95巻7号、2023年7月、41-47頁
- 「法制度の効率性と租税法の役割―Kaplow & Shavell の “double distortion” テーゼ再訪」『フィナンシャル・レビュー(財務総合政策研究所)』152号、2023年6月、4-29頁
- 「企画趣旨・総論(特集 議会の支出統制権・再考)」『法律時報』95巻6号、2023年6月、4-8頁
- 「フランス財政法における支出統制と議会の役割」『法律時報』95巻6号、2023年6月、24-32頁
- 「コメントへのリプライ(特集 議会の支出統制権・再考)」『法律時報』95巻6号、2023年6月、51-55頁(片桐直人・上田健介と共著)
- 「信用の基礎理論構築に向けて(9-2)租税国家の危機 2.0(中)財政・貨幣・金融の連関構造の動揺と再構築?」『法律時報』95巻4号、2023年4月、71-77頁
- 「信用の基礎理論構築に向けて(9-1) 租税国家の危機 2.0(上)財政・貨幣・金融の連関構造の動揺と再構築?」『法律時報』95巻3号、2023年3月、75-81頁
- 「課税仕入れを巡る問題」『ジュリスト』1588号,2023年8月,20-25頁
- 「法制度の効率性と租税法の役割―Kaplow & Shavell の “double distortion” テーゼ再訪」フィナンシャル・レビュー(財務総合政策研究所)152号,2023年6月,4-29頁
- 「信用の基礎理論構築に向けて(9-1)租税国家の危機 2.0(上)財政・貨幣・金融の連関構造の動揺と再構築?」『法律時報』95巻3号,2023年3月,75-81頁
- 「(講演)租税原則としての〈公平〉について考える」TKC(タックスフォーラム2022特別号),2023年1月,14-27頁
- 「処分理由の差替え(1) ―― 課税処分」斎藤誠・山本隆司編『行政判例百選(第8版)』,2022年11月,370-371頁
- 「税から見る公益信託法改正の課題と展望」『信託フォーラム』18号,2022年10月,27-31頁
- "Legal Framework for Government Debt Management Policy in Japan", Public Policy Review (Policy Research Institute, Ministry of Finance Japan), vol.18, June 2022, pp.1-17
- 「企画趣旨・総論(特集「租税国家のメタモルフォーゼ」)」『法律時報』94巻5号,2022年4月,4-9頁
- (笠木映里、西平等、山本龍彦、米田雅宏、米村滋人と共編)『新型コロナウイルスと法学』,日本評論社,2022年2月,296頁.
- (中里実と共編)『租税法律主義の総合的検討』,有斐閣,2021年12月,382頁.
- "Solidarité et famille en droit japonais" La solidarité : Journées françaises, Tome LXIX/2019, Bruylant, novembre 2021, pp.161-182 (avec Tetsushi Saito, Eri Kasagi, Lisa Oshima).
- 「税の観点からみた信託と類似制度」『信託その他制度における財産管理継承機能』,トラスト未来フォーラム研究叢書,2021年10月,161-202頁.
- 「ミクロ憲法学の可能性(7-2)「資金」の財政法学 : 片桐報告へのコメント」『法律時報』93巻11号(2021年10月),104-108頁.
- 「国の債務管理政策の法的枠組みに関する論点整理」『フィナンシャル・レビュー(財務総合政策研究所)』146号,2021年6月,58-73頁.
- 「企画趣旨(特集「分配問題と法学」)」『法律時報』93巻5号,2021年4月,4-8頁.
- 「コロナ危機と財政法」法律時報92巻12号(2020年)85-93頁
- 「家族と(再)分配」租税法研究48号(2020年)63-81頁
- 浅野有紀=原田大樹=藤谷武史=横溝大(編)『政策実現過程のグローバル化』(弘文堂・2019年)全385+xi頁
- 「グローバル化・多様化する財産保有形態と租税法」民商法雑誌155巻3号(2019年8月)466-490頁
- 「公益法人制度改革後の寄附金税制の展開と課題」税研206号(2019年7月)48-53頁
- "How Japan is (not) dealing with the public finance crisis" in: Manuel Tirard (dir.), La Nouvelle-Calédonie face à la crise des finances publiques, Univerisité de la Nouvelle-Calédonie, 2019, pp. 211-222.
- « Les données et chiffres des finances publiques au Japon » Alain Pariente (dir.), Les chiffres en finances publiques, Mare & Martin, 07/2019, pp.93-106
- 大島梨沙=林貴美=藤谷武史=横溝大「相続代替制度に関する法的考察-民法・抵触法・租税法の観点から」法政論集(名古屋大学)281号(2019年3月)1-62頁
- 金子宏・中里実編『租税法と民法』(有斐閣・2018年11月、総頁数:624頁)【執筆担当;藤谷武史「夫婦財産制と租税法 ― 国際的側面からの検討」477-501頁】
- 藤谷武史「必要経費の意義と範囲」日税研論集74号(2018年9月)159-188頁
- 『金融取引と課税(5)』(トラスト未来フォーラム研究叢書)(2018年8月、総頁数:168頁)【執筆担当:藤谷武史「いわゆるSovereign Wealth Fundと租税法・財政法 ― 研究ノート」95-144頁】
- Manuel Tirard, Les finances publiques autour du Pacifique, Mare & Martin, 01/2019, 総頁数:314頁(執筆担当:FUJITANI, Takeshi, « Les Finances publiques au Japon », pp.153-188)
- 「課税目的の情報交換制度のグローバル化と国内裁判所の役割」社会科学研究69巻1号(2018年3月)39-71頁
- 「公益信託税制の現状と課題」信託271号(2017年8月)42-73頁
- 「公益の実現における公益信託の意義 (シンポジウム 公益信託法改正)」信託法研究42号(2017年)81-96頁
- 「外国法上の相続代替制度に対する日本租税法の適用」論究ジュリスト22号(2017年8月)235-239頁
- 「グローバル資本規制 ―「複合的分断と法」の視角から」法律時報89巻9号(2017年7月)13-18頁
- 「行動3(有効なCFC税制の構築)最終報告書」中里実=太田洋=伊藤剛志編著『BEPSとグローバル経済活動』(有斐閣・2017年11月)116-139頁(総頁数:338頁)
- 「国際租税法の法源と規範構造」中里実=岡村忠生=米田隆(編)『現代租税法講座第4巻 国際課税』(日本評論社・2017年8月)29-56頁(総頁数:464頁)
- 「租税法と財政法」中里実=岡村忠生=米田隆(編)『現代租税法講座第1巻 理論・歴史』(日本評論社・2017年6月)61-91頁(総頁数:372頁)
- 「公益のための信託と税制」能見善久=神田秀樹=樋口範雄(編)『信託法制の新時代(トラスト未来フォーラム創立30周年論文集)』(弘文堂・2017年11月)379-399頁(総頁数:416頁)
- 中里実=岡村忠生=米田隆(編)、渕圭吾=北村導人=藤谷武史(編集担当)『現代租税法講座第1巻 理論・歴史』(日本評論社・2017年6月)総頁数:372頁
- 「財政と金融市場の「法的な距離」― 財政法学の研究課題の提示に向けて」『法律時報』88巻9号、2016年7月、14-25頁.
- 「家族と税制―政府税調「論点整理」を手がかりに」『ジュリスト』1493号、2016年4月、32-37頁.
- 「論拠としての「租税法律主義」― 各国比較」『フィナンシャル・レビュー(財務省財務総合政策研究所)』通巻第129号、2017年3月、194-217頁.
- 「ガバナンス論における正統性問題」東京大学社会科学研究所編『ガバナンスを問い直すⅠ』、東京大学出版会、2016年11月、217-245頁.
- 「租税法による〈外部規範の参照〉の規範構造に関する試論」『金融取引と課税(4)』、トラスト未来フォーラム研究叢書、2016年8月、105-126頁.
- 『グローバル化と公法・私法関係の再編』(浅野有紀・原田大樹・横溝大と共編)、弘文堂、2015 年12月、全370+ix頁.
- 「国家作用と租税による費用負担」『法律時報』88巻2号、2016年2月、4-9頁
- “Tax Legislative Reference to External Sources and the Constitutional Principle of Statute-Based Taxation in Japan”, 葛克昌教授祝壽論文集編輯委員會『租稅正義與人權保障:葛克昌教授祝壽論文集』(新學林(台湾)・2016年)959-988頁. http://www.books.com.tw/products/0010706046
- 「統治における立法の位置 ― 公法学の観点から」日本法哲学会編『法哲学年報2014:立法の法哲学―立法学の再定位』、有斐閣、2015年、33-49頁.
- “The Law, Governance, and Society in the Context of Globalization – Renewed Formation of the Law and Sovereign States”, Japanese Yearbook of International Law, vol.57 (2014), pp. 195-216.
- 「国際租税法における規範形成の動態―国際的フォーラムの変容と国内法体系への影響」中里実=太田洋=弘中聡浩=伊藤剛志(編)『クロスボーダー取引課税のフロンティア』有斐閣、2014年12月、42-57頁.
- 「租税法における不確実性(uncertainty)と「法の支配」の機能的意味」『論究ジュリスト』10号、2014年8月、74-83頁.
- 「所得課税における法的帰属と経済的帰属の関係・再考」金子宏=中里実=J.マーク・ラムザイヤー編『租税法と市場』、有斐閣、2014年7月、184-200頁.
- 「財政システムと立法」西原博史編『立法学のフロンティア2―立法システムの再構築』、ナカニシヤ出版、2014年7月、83-108頁.
- 「市場に対する国際的なレギュレーションの動態と「国際私法における当事者自治」— 国内公法学からの論点提示」国際私法年報15号(2014年3月)86-110頁.
- 「投資リスクと税制」租税法研究41号(2013年6月)47-67頁.
- 「国の《資産》の法と経済学」フィナンシャル・レビュー(財務省財務総合政策研究所)通巻第113号(2013年3月)111-131頁.
- 「《多元分散型統御》とは何か? — 法(政策)学への貢献の可能性」新世代法政策学研究20号(2013年3月)113-170頁.
- 「公益信託と税制」信託法研究37号(2012年)33-47頁.
- 「企業・投資活動の国際的展開と国家」公法研究74号(2012年10月)100-111頁.
- 「政府調達における財政法的規律の意義—「経済性の原則」の再定位—」『フィナンシャル・レビュー』通巻第104号, 財務省財務総合政策研究所, 2011年2月, 57-76頁.
- 「財政制度をめぐる法律学と経済学の交錯—法律学の立場から—」『フィナンシャル・レビュー』通巻第103号, 財務省財務総合政策研究所, 2011年1月, 3-24頁.
- 「「法政策学」の再定位・試論—「新世代法政策学」の基礎理論の探求」『新世代法政策学研究』9号, 北海道大学, 2010年12月, 181-215頁.
- 「「より良き立法」の制度論的基礎・序説—アメリカ法における「立法」の位置づけを手がかりに」『新世代法政策学研究』7号, 北海道大学, 2010年7月, 149-213頁.
- 「プロセス・時間・制度:新世代法政策学研究のための一試論」『新世代法政策学研究』創刊号, 北海道大学, 2009年3月, 29-64頁.
- 「国家の財源調達活動とソフトロー — 公債市場における「暗黙の政府保証」と「市場との対話」」中山信弘編集代表・中里実編『政府規制とソフトロー』ソフトロー研究叢書第3巻, 有斐閣, 2008年3月, 33-67頁.
- 「市場介入手段としての租税の制度的特質」金子宏編『租税法の基本問題』有斐閣, 2007年11月, 3-22頁.
- 「所得税の理論的基礎の再検討」金子宏編『租税法の基本問題』有斐閣, 2007年11月, 272-295頁.
- 「非営利公益団体課税の機能的分析—政策税制の租税法学的考察(一)—(四・完)」『国家学会雑誌』117巻11・12号1021-1129頁, 2004年,118巻1・2号1-110頁,118巻3・4号220-322頁,5・6号487-599頁, 2005年.[第2回商事法務研究会賞].
教育活動
東京大学 法学政治学研究科・法曹養成専攻・公共政策大学院 |
「財政法」(後期) |
東京大学 法学部 | 「租税法」(前期) 「法と経済学」(飯田高教授,南繁樹講師と共同担当,後期) |