東京大学社会科学研究所

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スタッフ

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MASLOW, Sebastian (マスロー・セバスティアン)

所属部門 国際日本社会部門 准教授
専門分野 国際関係論・現日本政治論
e-mail s-maslow[at]iss.u-tokyo.ac.jp
[at]を@に置き換えてください。
Researchmap

https://researchmap.jp/smaslow

経歴

2007年9月 ベルリン自由大学歴史文化学部日本学科卒業
2009年9月 東北大学大学院情報科学研究科博士課程前期修了
2015年3月 東北大学大学院法学研究科博士課程後期満期退学
2012年10月 - 
2014年4月
ハイデルベルグ大学東アジア研究センター 助教
2015年4月 - 
2017年3月
東北大学大学院法学研究科 助教
2017年10月 - 
2018年3月
神戸大学大学院国際協力研究科 特命助教
2018年4月 - 
2020年3月
東京大学社会科学研究所 特任研究員
2020年4月 - 
2024年3月
仙台白百合女子大学人間学部グローバルスタディーズ学科 専任講師
2024年6月 - 東京大学社会科学研究所 准教授

研究テーマ

1危機言説の政治学と日本の安全保政策
Crisis narratives and Japanese national security
 政策・制度変化を促す言説形成の政治過程をめぐる研究。ここでは、コリン・ヘイが提供した「危機」の言説形成の政治過程と国家制度の再編の関係を分析枠組みとして応用する。ヘイはこの枠組みを1970年代後半のイギリスの社会的経済的危機とサッチャー政権誕生の保守政権の長期化に伴った新自由主義的国家再編の関係を分析した。このような国内政治におけるイデオロギー対立やエリート間の権力関係の再編を的確に把握するモデルを現代日本の政治に応用することによって、第二次安倍政権の長期化と政治制度の変化を生んだ原因およびメカニズムをより明確に捉えることができる。とくに戦後日本の安全保障政策に着目しながら、日朝関係を軸に第2次安倍政権以降の「国難」言説形成と安全保障政策の変化との関係を分析する。

2政策過程におけるシンクタンクの役割
Think tanks in Japanese politics
 政策過程におけるシンクタンクや外部専門家の役割に関する研究。ここでは、近年、比較政治経済学とりわけ政策アイディアの起源と制度変化の関係を分析対象としたknowledge regimeという概念を適応し、主に安全保障政策に着目して、政策会議・有識者会議の役割の変化と日本の政策過程における専門家(学者など)やシンクタンクの活動・影響を考察する。この研究では、第二次安倍政権の発足以来の「インド太平洋」という地政学的概念と安倍政権の「アベノミクス」や岸田政権の「新しい資本主義」という経済改革のアイディアの起源と普及の過程を分析する。このように政治と専門家及び政治とシンクタンクの関係を考察することによって、現代日本政治論への新たな貢献を目指す。

3武器輸出政策の比較政治学
Comparative politics of arms exports
 日本とドイツは、戦後、米国下の「自由で開かれた国際秩序」(LIO)の主要国として経済復興をともに果たしたという共通点をもつ。したがって、本研究は、日本とドイツの比較を通じて武器輸出と国家安全保障戦略の関係を考察し、両国の武器輸出政策の発展に影響を与える3つの要因について検討する。すなわち、①国内の「反軍国主義の文化」の規範による影響、②国家と産業の関係(開発志向型国家、ネオ・コーポラティズム国家)とその制度の経路依存、③外部要因としての安全保障環境の変化である。日本は2014年の「防衛整備移転三原則」の成立に続き、戦闘地域への殺傷能力のある武器輸出の解禁を検討する。また、ドイツも2016年以降輸出を大幅に拡大し、今や世界で5位の武器輸出国となった。両国は、ウクライナ戦争や中国の台頭に直面しながら、武器輸出を国家安全保障戦略の一部として位置づけ、「自由で開かれたインド太平洋」(FOIP)や「自由で開かれた国際秩序」を維持しようとする。本研究は、武器輸出はこの国際秩序の中でどのように位置づけられるのか、平和のための武器輸出という相反する概念に着目しながら、ドイツと日本における武器輸出をめぐる政策変化の過程を規範(反軍国主義の文化)、制度(国家産業関係)、システム(国際安全保障環境)の観点から分析する。

主要業績

  • “Japan’s Geopolitics: Mapping a New Geostrategic Space in the Indo-Pacific.” In The Palgrave Handbook of Contemporary Geopolitics, edited by Zak Cope, May 2024.
  • “Rethinking change in Japan's security policy: punctuated equilibrium theory and Japan's response to the Russian invasion of Ukraine,”Policy Studies45(3-4): 653-676 (with Paul O’Shea), January 2024.
  • “The 2020/2021 Tokyo Olympics: Does Japan get the gold medal or the wooden spoon?” Contemporary Japan35(1): 16-34 (with Paul O’Shea), April 2023.
  • Crisis Narratives, Institutional Change, and the Transformation of the Japanese State (co-edited with Christian Wirth). Albany: State University of New York Press, 2021.
  • “’Making the alliance even greater’: (Mis-)managing U.S.-Japan relations in the age of Trump,”Asian Security 17(2): 649-669 (with Paul O’Shea), June 2021.
  • “Japan's new arms export policies: strategic aspirations and domestic constraints,” Australian Journal of International Affairs 74(6): 649-669 (with Alexandra Sakaki), November 2020,
  • “Knowledge Regimes in Post-Developmental States: Assessing the Role of Think Tanks in Japan's Policymaking Process,” Pacific Affairs 91(1): 95-117, March 2018.
  • 「日朝国交正常化交渉と拉致問題」佐藤史郎、川名晋史、齊藤孝祐、上野友也編『日本外交の論点』(法律文化社、2018年)、67-77頁.
  • “Japan’s Foreign Policy.” In Routledge Handbook of Politics in Asia, edited by Shiping Hua, 342-354. Abingdon: Routledge, 2018.
  • Risk State: Japan’s Foreign Policy in an Age of Uncertainty (co-edited with Ra Mason and Paul O’Shea). Abingdon: Routledge, 2015.
  • “A Blueprint for a Strong Japan? Abe Shinzo and Japan's Evolving Security System,” Asian Survey 55(4), 739-765, July 2015.
  • “China and Japan: Partner, Rival, and Enemy?” In China’s International Roles: Challenging or Supporting International Order?, edited by Sebastian Harnisch, Sebastian Bersick, and Jörn-Carsten Gottwald, 188-206. Abingdon: Routledge, 2015.
  • “Yet Another Lost Decade? Whither Japan’s North Korea Policy under Abe Shinzō,” The Asia-Pacific Journal/Japan Focus 11(15-3), April 2013.
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