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- 1. 評価のとりまとめ
外部評価報告書
<提出資料> 付属文書1. 全所的プロジェクト研究についての専門家パネル
1. 評価のとりまとめ
(1) 国立大学付属研究所の共同研究のありかたとその成果の刊行について
- 大学の研究所と商業出版社の間では、研究会の持ち方や成果の刊行の仕方について「すみわけ」が可能である。研究者は、出版社が企画できない長期的な研究課題について研究会を組織すべきであるし、社会科学研究所のこれまでの実績はその要請に十分こたえている。
- 時代状況を踏まえながら、時代に流されない研究課題を設定することが必要であり、その意味で「問題発見型」の共同研究が期待されている。「20世紀システム」などはそのひとつの例であり、高く評価できる。「論争」を引き起こすような試みこそが必要であろう。
- 研究成果を出版社から刊行するだけが研究所の役割ではない。たとえば、研究会の議論のプロセスをヴァーチャルに読者に伝えるような工夫も、今後は必要であろう。
(2) 読者層の設定
- 商業出版社は、絶えず想定する読者層によって、本の作り方や執筆者の選定も制約される。その点、研究所はこうした出版社の制約から離れており、より基本的な社会科学の研究課題を追求できる立場にある。また、読者におもねるのではなく、アカデミズムを相手に研究を進めることが現在の状況ではより必要であり、社会科学研究所の現在のスタイルを維持すべきである。
- ただし、従来の成果刊行物の場合、読者層の設定がややあいまいになっている。出版社や新聞社の企画ものとは違う、しっかりした研究の成果を刊行しつづけることがますます重要である。
(3) 今後の全所的プロジェクト研究への期待
- 研究会の参加者は、海外の研究者にも拡充していくことが望ましいし、同時に刊行物についても英語と日本語の同時刊行を考えるべきであろう(現代日本社会については、すでに実施;現在企画中のプロジェクトは海外の大学や国際研究機関との連携を検討中である)。
- 社会科学の基礎をなす基本データの収集・整備とその紹介にも、もっと精力を費やして欲しい。(日本社会研究情報センターの「データアーカイブ」では、まさにその方向で作業を進めている)