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研究戦略室
研究戦略室の設置
研究戦略室の設置
東京大学社会科学研究所は、2013年11月、研究戦略室を設置いたしました。
設置の背景
社会科学研究所の研究活動は次の3つの層からなります。①個々のスタッフがそれぞれの専門分野において自律的に課題を設定して行なう「専門分野基礎研究」、②研究スタッフが中心となり、研究所内外の研究者を組織して重要課題に迫る「グループ共同研究」、③4-5年間の期間を設定し研究所の総力をあげて、日本と世界が直面する重要課題を多面的に解明する「全所的プロジェクト研究」です。
近年、②と③の中間的な性格を持つ「研究拠点」や「委託研究」などが所外の機関等と連携する形で組織され、研究所の活動において大きな比重を占めるようになってきました。「現代中国研究拠点事業」(人間文化研究機構補助金)、「近未来の課題解決を目指した実証的社会科学研究推進事業」(文部科学省委託研究)、「グローバルCOE連携拠点事業」(日本学術振興会補助金)などがその例です。また、社会調査関係のデータアーカイブとしては国内で最大規模を誇る附属社会調査・データアーカイブ研究センターが2010年4月に全国共同利用・共同研究拠点に認定され、その活動のいっそうの強化が期待されています。
以上のように、近年では、研究所の研究活動が著しく広がり、多様化してきています。これ自体は研究活動の充実であり、研究所の存在価値を高めることにつながり好ましいのですが、他方においていくつかの問題が生じています。
第1に、全所的プロジェクトと「研究拠点」、「委託事業」などの中型プロジェクト、附属社会調査・データアーカイブの研究調査活動等との有機的連携が十分には図られておらず、本来期待されるべきシナジー効果が十分に発揮されていません。第2に助教、特任助教、特任研究員、日本学術振興会特別研究員等の若手研究者を育成する場として、これらのプロジェクトが十分に活用されていません。第3に研究成果の「発信」が個々のプロジェクトごとになされているために、研究所全体としての「発信」に改善の余地があります。研究成果に対するフィードバックを生かすためにも、体系的な発信力の強化が求められており、この点は所外の有識者からなる「東京大学社会科学研究所諮問委員会」が指摘するところでもあります。
これらの問題を解決し、社会科学研究所の研究力の強化につなげるため、研究戦略室が設置されました。