東京大学社会科学研究所

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自己点検・自己評価報告 各所員の研究活動

伊藤武

1.経歴

1971年 5月5日生まれ
1995年3月 東京大学法学部卒業
1995年4月 東京大学法学政治学研究科修士課程政治専攻入学
1997年3月 同 修了
1997年4月 東京大学法学政治学研究科修士課程政治専攻博士課程進学
1998年3月 助手採用のため中途退学
1997年4月~98年3月 日本学術振興会特別研究員(DC1)
1998年4月 東京大学社会科学研究所助手

2. 専門分野

比較現代政治,専門分野:ヨーロッパ比較政治,イタリア政治

3. 過去10年間の研究テーマ

  1. 近現代イタリア政治におけるカトリック勢力(キリスト教民主主義)
  2. ヨーロッパにおけるキリスト教民主主義の政治的意義
  3. 政党論、政党理論
  4. 政治経済論
  5. 第二次世界大戦後のヨーロッパの政治経済体制における政党の役割
  6. ヨーロッパ諸国との比較における戦後イタリアの政党政治の特徴
  7. 近代イタリア史、戦後イタリア史の枠組

4. 1998年度までの主要業績

  1. 「『改革と権力』――― キリスト教民主党の優位の形成過程」(東京大学法学政治学研究科修士課程学位論文)
  2. 「戦後イタリアの政治経済体制と政党政治―――『政党支配体制』の比較政治学的考察」(研究ノート)東京大学社会科学研究所『社会科学研究』第50巻6号、1999年3月、129-151頁
  3. 「第Ⅵ章 イタリア」国際情勢ベーシックシリーズ『EU諸国』自由国民社、1999年5月、389-432頁
  4. 「国家と教会」ワセダ・リブリ・ムンディ・シリーズ『イタリアの政治』早稲田大学出版部(近刊)

5. 社会科学研究所における自己の研究分野と研究活動の位置づけ

研究所における私の所属部門は、比較現代政治大部門・欧米政治であり、専門分野はヨーロッパ比較政治、特にイタリア政治である。1998年4月に助手として研究所に着任したばかりであるが、現在の研究環境における自分の研究の位置付けについては次のように考えている。

社研は、日本の理解に繋がる比較に力点を置く研究機関であることは周知の通りである。欧米諸国など日本以外の研究も、日本の一段と深い理解に寄与するとの理由から奨励されているばかりでなく、スタッフの多くも実際に日本との比較を行う機会が増す傾向にある。私は、現時点では日本との比較を直接行わないにしても、その点については従来から研究上の問題設定に際して念頭に置いてきた(一党優位体制、政官関係、経済運営における政党の意義など)。特に私の専門であるイタリア政治は、他のヨーロッパ諸国と比較しても、日本と多くの点で比較分析が可能かつ有意義な研究対象だと言えよう。そうした問題設定を更に発展させてゆくつもりである。

さらに、社会科学研究所(Institute of Social Science)という研究所の名称が象徴するように、日本を軸にした比較とは、Social Science about Japanではなく、Social science in Japanを追究することだろう。社研が単一の地域や学問領域だけでなく、日本を軸数地域を包括し、政治学・法律学・経済学・社会学を融合した研究機関という特徴を活かしてゆかねばならない。私としては、勿論、私の専門領域ある政治史・政治学のアプローチとこれまで研究対象してきた戦後イタリア政治固有の歴史的文脈の解明に研究の足場を置くにせよ((2)(3)など)、助手着任前に所属していた法学政治学研究科時代と 比べると、特に社会学・経済学など隣接領域の研究成果を摂取すること、地域や専門分 野を超えて理解可能な議論を構築すること、の必要性を強く意識するようになっている。さらに、本研究所が諸外国からの第一線の研究者や若手研究者を多く受け入れている環境も活かして、それらの国の社会科学との比較(問題 設定,方法論など)も考慮してゆきたい。

6. 今後の研究テーマ

  1. 戦後イタリア政治体制における政党権力の意義の再評価
    Research on the Revaluation of Power of Political Parties in Postwar Italy
    「政党支配体制」と言われるイタリアの政党の強大な権力という通説的見方が適切かどうかについて、政党と国家・社会との関係、その政治経済の領域の意義に注目しつつ、比較と具体的政策過程の実証を踏まえた再検討をはかる。
  2. 戦後ヨーロッパ政治体制の形成過程の比較研究
    Comparative Research on the Formation of Postwar Regime in Europe.
    第二次世界大戦終結直後の40年代後半と経済成長を経た60年代初めの間で着目されることが少なかった1950年代を軸に、政党勢力編成、国家と社会の関係、経済政策レジーム、福祉国家、などの側面を検討しながら、戦後ヨーロッパの体制形成過程の比較を行う。
  3. 戦後ヨーロッパにおける非左翼勢力(中道・保守勢力)の政治経済体制における意義の比較研究
    Comparative Study on the Role and the Relative Significance of on-Left Forces in Postwar European Political Economy(ChristianDemocracy, Non-religious Center/Conservative, etc.).
    政治経済に関する研究において、左翼勢力と比べて圧倒的に軽視されてきた非左翼勢力の意義について,社会政策だけでなく,産業政策・財政政策・金融政策など政策パッケージの内容,政策ネットワークの特徴などを研究する.
  4. 民主政治と経済・社会のリンケージに関する理論的・方法論的再検討
    Theoretical and Methodological Reconsideration of the linkages among democratic politics, political society, political economy.
    従来は十分な批判的検討と摂取が相互に為されていなかった政党論など制度的デモクラシーに関わる議論,政治と社会の接点についての政治社会学的議論や地域研究、政治経済学周辺の議論について,理論的・方法論的な観点から、実際の分析に有効なフレームワークとアプローチを抽出する作業を行う.

7. 主な教育活動

 なし

8. 所属学会

日本政治学会

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