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社研卒業生の現在(いま)

金井 郁 さん

現在、埼玉大学経済学部でご活躍の金井郁さんに、社研在籍当時や最近のご様子についてお話を伺いました。

金井郁さん

写真:子供の時に通っていたアメリカ、バークレーの小学校Leconte Elementary Schoolにて(2013年1月)

プロフィール

金井 郁(かない かおる)

埼玉大学経済学部(准教授)

専門分野:労働経済論、ジェンダー論

社研在職期間:2005年5月~2009年3月

リサーチ・アシスタント(2005.05-2008.03)

特任研究員(2008.04-2009.03)

 博士課程の約4年間、指導教員だった大沢真理先生のプロジェクトのリサーチ・アシスタントや特任研究員として、社研に在籍させてもらいました。大沢先生のプロジェクトの仕事でしたので、在籍当時は社研全体の仕事に関わっていなかったのですが、社研の先生や職員の方達はとても気さくで、スタッフの方たちとお昼を食べたり、休憩時間にお茶をしたり、夜は飲みに行ったりとそんな思い出ばかりです…。

 土田さんの調査室を勝手に「喫茶土田」と名付けて、橘川先生とコーヒーとお菓子をいただきながら研究や教育の話をざっくばらんにさせてもらっていました。土田さんの部屋では、中村尚史先生や平島先生ともよくご一緒させて頂きました。水町先生とは大学近くのお店でお昼をご一緒させていただいた時、ちょうどWBCの決勝の日で、お店のラジオを聴きながら2人で大興奮してしまったのがとてもいい思い出です。

 今からよく考えてみると、世界的にも有名な社会科学の様々な分野の先生方と、大学院生という立場にもかかわらず気軽に話ができてしまう環境はそうないのではないかと思います。少し後悔しているのは、色々な先生たちから最先端の研究の話を聞くいいチャンスだったのに、その時は世界的にトップレベルの研究をされている先生たちに囲まれているという贅沢な環境が当たり前すぎて、私は研究に関係のない他愛の無い話をたくさんしてしまったように思います。

 私の研究は、主に女性労働および非正規雇用についてです。現在は、嬉しいことに希望学の福井研究のプロジェクトに参加することで、社研と研究上のつながりがあります。大沢班でアンケートやヒアリングを実施し、福井の女性労働の実証研究を行なっています。近年、福井県は女性が働きやすく、同時に子どもを生み育てやすいと紹介されることが多く、実際に女性労働力率も正社員比率も高いです。一方で、管理職における女性比率が低く男女間賃金格差も大きいなど、ジェンダー平等と不平等を示す状況が共存しており、女性労働研究としても大変興味深い県です。この研究に携わらせてもらい地域における女性労働という研究視点を新たに持つようになり、現在自分が勤務している埼玉県の女性労働への関心にもつながっています。報告会などで希望学に参加されている先生方の面白く観客を飽きさせず、地域にも学問的にもインプリケーションのあるご報告は、自分の研究の足りない点を再確認しつつさらに発展させていく上で目標となっています。「希望の社会科学」という新しい学問領域の挑戦に一緒に立ち会えるのも、研究者として大変刺激的なことです。

 社研を卒業して埼玉大学経済学部に就職してから、ちょうど4年がたちました。埼玉大学は夜間の学部もあり、また大学院は社会人が多く通っています。昼と夜の講義があり、大学院生の指導は土曜日にもやっています。教育の面白さややりがいもありますが、ともすれば、日々の仕事に忙殺されてしまいそうになる毎日です。でも、外部資金を獲得して、毎年学会などでの報告や学術論文を何本も書くことを「普通」にしていた大沢真理先生はじめ社研の先生方に囲まれていたせいか、どんなに忙しくても研究は進めなければならない、という意識は私の中にも根付きました。4年間の社研在籍は、研究者として非常に恵まれたスタート地点にいたのだ、と改めて感じています。

研究者としてのスタート地点が社研とのこと、これから長い道のりと思いますが 楽しい思い出はきっと宝物になると思います。今日はありがとうございました。

(2013年3月14日掲載)

最近、嬉しかったことは何ですか?
エッセンの街 今年(2013年)9月から1年間、ドイツでの在外研究(エッセン・デュースブルグ大学)が決まりました!皆さん、遊びに来てくださいね。

写真:エッセンの街、行くのはデュースブルグ校

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