案内
社研卒業生の現在(いま)
金成垣 さん
現在、東京経済大学経済学部でご活躍の金成垣さんに、社研在籍当時や最近のご様子についてお話を伺いました。
プロフィール
金 成垣(きむ そんうぉん)
東京経済大学経済学部(准教授)
専門分野:福祉社会学、比較福祉国家研究
社研在職期間:2007年4月~2010年3月
助教
私が社研に助教として在籍していたのは、2007年4月から2010年3月までの3年間です。東京大学大学院(人文社会系研究科)の修士課程に入学したのが2000年4月、博士課程を終了したのが2007年3月ですから、その後の社研での3年間を合わせると、東大では11年間お世話になりました。
大学院時代であったと思いますが、ある先生から、「大学院終了後の3年間がそれ以降の研究生活の道を決定するほど重要な時間である」と言われたことがあります。私の研究テーマは、社会政策や雇用政策を含む福祉国家政策の国際比較研究、一言でいうと比較福祉国家研究ですが、2007年大学院修了後、社研での助教の3年間は、それまでの自分がやってきた比較福祉国家研究をさらに広くかつ深く展開していくうえで非常に貴重な時間となりました。
第1に、研究対象の面でいえば、それまで主に日本と韓国を中心にしていた国際比較分析に、中国や台湾を入れることができました。社研にいる3年間、国内で中国や台湾についての研究に集中できただけでなく、2年目の2008年には半年ほど中国(北京大学社会学系)に留学をする機会をいただきました。国内や留学先での研究は非常に大事な財産となり、その後、日韓だけでなく中国や台湾を入れた東アジア諸国・地域を対象とした比較福祉国家研究へと自分の研究領域を広げることができました。
第2に、理論研究の面でいえば、それまで主に社会学分野で欧米の理論を中心に研究方法論や分析視点を考えてきたのですが、社研にいる3年間、その欧米の理論とはやや異なる流れで展開されてきた日本の経済学分野における福祉国家研究について勉強することができ、それをふまえ新しい研究方法論や新しい分析視点に作るベースを整えることができました。加藤榮一先生や林建久先生などの福祉国家研究、そしてその背後にある日本の社会科学の伝統にも接し、それを自分の比較福祉国家研究につなげることができたのは、私の研究にとって非常に貴重な経験でした。
第3に、以上をふまえ、研究成果の面でいえば、社研にいる3年間、国内外の同分野の著名な研究者たちとさまざまな共同研究を進めることができ、その成果の1つとして編著をまとめました。『現代の比較福祉国家論――東アジア発の新しい理論構築に向けて』(2010年、ミネルヴァ書房)という本です。20人以上の国内外の研究者が参加し全体構成4部31章からなる500ページをはるかに超える同書の出版は、社研の恵まれた研究環境、そして自由な研究雰囲気でなければできなかったものと思います。
社研での3年間、私が社研に貢献できたかどうかというと自信はありませんが、以上のような研究のさまざまな面で社研から受けた恩恵は、何にも代えられない大きなものでした。心より感謝を申し上げます。今年度で社研卒業6年目となりますが、社研から受けた恩恵を忘れずに今後も研究にさらに精進していきたいと思います。
社研での3年間が先生にとって大変貴重な研究期間であったことがよくわかりました。日韓及び東アジアを対象とした研究は今後さらに注目される分野と思います。ますますのご活躍をお祈りしています。
(2015年9月4日掲載)
- 最近、嬉しかったことは何ですか?
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4年ほど前から卒業旅行でゼミ生のみなさんと温泉・スキー場に行くこととなり、そこで、10年以上休んでいたスノーボードを再チャレンジしました。アラフォーの年齢で、周りからはスキーならいいけどスノーボードは止めた方がいいといわれましたが、何とか頑張って体力を整えて毎年楽しんでいるところです。
(写真:2014年2月ゼミ卒業旅行in草津)