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社研卒業生の現在(いま)

佐藤慶一さん

現在、 専修大学ネットワーク情報学部でご活躍の佐藤慶一さんに、社研在籍当時や最近のご様子についてお話を伺いました。

佐藤慶一さん

研究室にて近影(2016年5月)

プロフィール

佐藤慶一(さとうけいいち)

専修大学ネットワーク情報学部(准教授)
専門分野:専門 都市防災、政策科学

社研在職期間:2008年4月~2013年3月

助教(2008.04-2010.03)
准教授(2010.04-2013.03)

 2008年4月から2013年3月まで、助教、任期付き准教授として、5年間、社研で過ごさせていただきました。

 直前は、東京工業大学都市地震工学センターでポスドク研究員をしていて、応募した日本社会研究情報センター(現社会調査・データアーカイブ研究センター)助教の公募で、面接に呼んでいただいたのが、社研をたずねた最初でした。当日、社研の伝統的な建物を前に大変緊張したこと、その後、佐藤香先生や佐藤博樹先生(現中央大学)からご連絡をいただいたのですが、実感がわかず、信じられなかったことを思い出します。

 在任中は、SSJデータアーカイブで、データ寄託、データ公開やシステム関係の仕事などをさせていただきました。前職の中澤渉先生(現大阪大学) には、丁寧に引き継いでいただき、大変スムーズに仕事に入れました。質問紙調査を実施されている企業や政府系機関へデータ寄託のお願いに行く機会も多くあり、それまで縁の無かった調査やその他業務についてのお話をうかがえました。前田幸男先生には、海外のデータアーカイブの動向などについて、教えていただきました。参加させていただいた田辺俊介さん(現早稲田大学) がご担当されていた世界価値観調査を用いた二次分析研究会は、社会学や政治学などの気鋭の若手研究者が集まっていて、視野や関心が広がる機会となりました。

 システム関係では、古谷眞介さん(現大阪産業大学) や角井佑さん、入山浩一さん、システム管理室の中島勝利さん、米倉佑貴さん(現聖路加国際大学)らと共に、データダウンロードシステムDirectの開発やDDI対応の検討を担当させていただきました。

 2010年度からは任期付き准教授として、SSJデータアーカイブ以外にも、希望学や総務省統計研修所、金融庁金融研究センターなどでの共同研究、教育学部の教育社会学調査実習(中村高康先生と共同)など、新しい取り組みの機会が増えました。2011年には東日本大震災が発生し、メンバーによる震災1ヶ月後くらいの釜石訪問に同行させていただき、その後の調査などに参加させていただいたことは、大変貴重な経験でした。「震災の記憶」オーラルヒストリー調査では、消防関係の方などにお話をうかがい『〈持ち場〉の希望学 釜石と震災、もう一つの記憶』東大社研、中村尚史、玄田有史 編(東京大学出版会 2014年)の第4章にしていただきました。直接当事者から震災時の悲しみなど胸に迫るお話をうかがったことは、自身の研究スタイルのみならず、ものの見方や考え方にも影響があったものと思い返されます。

 2013年度からは専修大学ネットワーク情報学部で働いております。主担当科目は「政策科学」で、その他に、環境・防災問題(「環境と情報」)や情報社会に関する講義(「ネットワーク情報総論1」)、データ分析やワークショップの演習などを担当しています。担当する科目の範囲が広く、準備に時間を使っていますが、各分野でのオーソドックスな文献を勉強する良い機会になっています。データ分析の演習では、SSJデータアーカイブのデータを利用させてもらい進めています。ワークショップの演習や卒業演習などでは、希望学での経験も参考に、フィールドに出て学ぶことに取り組み、昨年は原宿・表参道で、インタビューやワークショップ、さらには地域の方や専門家などに集まってもらい防災をテーマにタウンミーティングをしました。

佐藤慶一さん

主催した「原宿・表参道BOSAIタウンミーティング」にて(2016年2月)

 ゼミ生とのフィールドワークでインタビューした障害者支援のNPO団体の方との出会いをきっかけとして、今年4月から新しく認知症と地域まちづくりをテーマとした国際交流・共同研究プロジェクトを立ち上げたところです。
http://www.senshu-u.ac.jp/news/news_2016/news_160406_project.html
http://www.townnews.co.jp/0203/2016/04/15/328673.html

 現在も、センターの二次分析研究会「東日本大震災と復興に関する被災者調査データの二次分析と分析方法の検討」(2015〜16年度)などで、たまにですが、社研を訪れております。

佐藤慶一さん

熊本地震ボランティアツアーに同行(2016年5月GW、嘉島町で土嚢を運ぶ)

 災害の被災地を訪問されたり、各地でのフィールドワーク等、ご多忙のところ今日はありがとうございました。社研にも「たまに」とおっしゃらず、研究会、プロジェクトに「足繁く」ご参加ください。

(2016年06月29日掲載)

最近、嬉しかったことは何ですか?
ディスカッション・ペーパー

 社研時代にも参加していた「若手防災研究者の会」が少し前に解散になったのですが、当時のメンバーの一部が集まり、内閣府経済社会総合研究所の防災ユニットとして、マルチハザード型の災害リスクインデックスの検討などを続けています。ある時、海外で博士号をとった高校の後輩が研究室をたずねてくれて、「何か共同研究できるといいですね」ということだったので、その研究会に参加してもらったところ、うまく共同作業ができて、最近ディスカッションペーパーを刊行できました。10年、20年というゆるやかな付き合いの中で、共同研究ができて、それを形にできたことがうれしかったです。
http://www.esri.go.jp/jp/archive/e_dis/e_dis327/e_dis327.html

写真:ESRI Discussion Paper Series No.327 『災害リスク情報と不動産市場のヘドニック分析』

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