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社研卒業生の現在(いま)

大井 方子 さん

現在、高知県公立大学法人高知短期大学社会科学科でご活躍の大井方子さんに、社研在籍当時や最近のご様子についてお話を伺いました。

大井方子さん

右に写っている校舎の4階に私の研究室があります。
左手奥に見える建築中の建物が新校舎で、来年度からそちらに移ります。(2014年12月2日撮影)

プロフィール

大井 方子(おおい まさこ)

高知県公立大学法人 高知短期大学社会科学科(教授)
専門分野:労働経済学、計量経済学

社研在職期間:2000年4月-2003年3月

助手

 社研に助手として採用され、とても嬉しかったです。助手の仕事は「研究すること」といわれ、その通り研究に専念していました。採用当初は、IT化により賃金格差が生じているかという、採用される前からの研究を継続していました。JGSS(日本版General Social Survey)-2000にアンケート調査項目としてIT関係を入れてもらったことも大きかったです。

 その後、社研セミナーなどに出席し、先生方から頂いたアドバイスもあり、女性労働の研究も始めました。また、二次分析研究会に参加し、そこで自営業に関する研究もしました。社研では労働関係の先生方も多く、社研の外で開かれている労働関係の研究会にも呼んで頂くようになったことから、労働関係の研究をもっとやっていこうと思うようになりました。

 「学務を少しするように」、と割り当てられた仕事の一つとして、JGSS-2000のデータ作成のお手伝いがありました。その関係で、アンケート調査項目作成の会議に同席し、調査者の苦労話を聞くなどデータ作成の現場を見せてもらえたことは、自分でデータを分析したりする際に役立っているように思います。

 また、社研ではデータ分析手法を学ぶ機会も提供されていました。そこでは基本的な散布図を見ることにかなり時間を割いていました。また、二次分析研究会では社会学の先生や院生の方々が参加していましたが、それまで私が知っていた経済の分析と違い、簡単な集計でスマートに切り込むやり方をしていて、こういう方法もあるのかと勉強になりました。


 採用から3年がすぎ、縁あって高知短期大学に採用されました。就職してみると、教育や学務の時間が格段に増え、研究時間が減っていきました。それでも、社研に入ってから始めた女性労働研究を、女性の働き方の少子化への影響を検討する研究に発展させたり、女性と夫の関係が若者と親の関係とに読み替えられると考え、若者の雇用の研究に応用したりしました。採用以前から行っていたIT化の研究は、IT化の企業内への影響を見る方向に拡張し、管理職や一般職の働き方に違いがあるかなどをみました。

 30歳代に学生部長を経験しました。学内外での折衝や組織変革など、研究だけでは知らなかった経験をしました。その頃、法人化や県立大学の統合など大きな問題が山積していました。写真左奥の建築中の建物は、統合に伴って作られる新校舎です。

 学生部長は入学者の確保や、学生を就職先に送り出すのも大事な仕事でした。その体験も活かし、高知や地方の雇用情勢や、就職や進学による人口流出についても研究しました。現在は大学進学率の推移や地域差について研究しています。

 2007年度には、社研の縁で、オックスフォード大学日産日本研究所にサバティカルで1年間行かせてもらい、イギリスやヨーロッパからの視点を得ることができました。近いうちに進学率の国際比較をしたいと考えています。

 高知短期大学は今年度で募集停止となり、私は同じ法人の高知県立大学に所属することになり、組織や建物が変わります。高知県立大学では、地域に関する教育をするように大学側からいわれています。その基礎研究として、高知においては中小企業がほとんどですので、社研時代に行った自営業に関する研究を考え直し、地域経済の研究に活用できないかとも考えています。

どうもありがとうございました。社研や高知短期大学での経験を生かされて、高知県立大学でもますますご活躍されますようお祈りしています。

(2015年1月8日掲載)

最近、嬉しかったことは何ですか?

短大祭でピアノを弾き、学生、卒業生をはじめ多くの方に大きな拍手とバラの花束を頂いたことです。

写真:短大祭でピアノを弾いている様子(2014年11月2日撮影)
   バラの花束と拍手を頂いている様子(同日)

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