案内
社研卒業生の現在(いま)
松浦 民恵 さん
現在ニッセイ基礎研究所生活研究部門でご活躍の松浦民恵さんに、社研在籍当時や最近のご様子についてお話を伺いました。
プロフィール
松浦 民恵(まつうら たみえ)
ニッセイ基礎研究所生活研究部門
(主任研究員)
専門分野:人的資源管理論
社研在職期間:2008年6月~2010年3月
特任研究員
2008年6月から2010年3月まで、社研の人材ビジネス研究寄付研究部門(当時、現・人材フォーラム)でお世話になりました。この1年10ヶ月は、いろいろな意味で私にとって特別な期間でした。
民間企業の人事部門を経てシンクタンクの研究員になり、見様見真似で10年以上研究をやってきたものの、このままではいけないのではないかという思いが募り、某大学の大学院博士後期課程に入学したのが2007年4月のこと。しかしながらシンクタンクの業務の傍らで博士論文を書くのは物理的に相当難しいと悩んでいた矢先に、社研でのお仕事のお話を頂きました。私の事情にご配慮頂き、週3日は社研で勤務し、週2日は博士論文のための活動に充当させて頂けることになり、任期である1年10ヶ月について、勤務先に休職を申し出、幸いなことに理解を得ることができました。・・・というわけで、この1年10ヶ月は、職業人としても学生としても大学に籍を置き、学問としての研究に初めて正面から向き合う機会となりました。
また、この1年10ヶ月は、「営業職の人事管理・人材開発」という、私にとっては新しい研究テーマと向き合う期間でもありました。博士論文のテーマとして「営業職」を選び、人材ビジネス研究寄付研究部門でも派遣営業職の研究に携わりました。営業職の既存研究は少なく、自分が取り組んでいる研究が果たしてモノになるのかどうか、不安な日々が続きました。人材ビジネス研究寄付研究部門の研究会では、自分の発想の陳腐さ、論理の組み立ての甘さを痛感し、自己嫌悪に陥ることもしばしばでした。
そういうなかで、ある方に、既存研究が少ないのは「テーマが面白くないから」か「研究が難しいから」か、どちらかだと言われ、研究を進めるなかで営業職研究は絶対に後者だと確信し、難しいからこそ何とかやってみたいという気持ちになりました。苦しみながらも、私はどうも悩み続けることができない性格のようで、「自己嫌悪に陥るのは、まだまだ向上できる余地があるからだよね」と思い直し、研究を続けました。
派遣営業職の研究については、人材ビジネス研究寄付研究部門の皆様のご支援のもと、私が社研を離れる直前の2010年3月に日本経済新聞出版社から刊行された『実証研究 日本の人材ビジネス』(佐藤博樹・佐野嘉秀・堀田聰子編)のなかで、研究成果を執筆させて頂きました。人材ビジネス研究寄付研究部門は私の任期満了と同じタイミングで終了しましたが、その活動を引き継いだ人材フォーラムのなかで、今も派遣営業職の研究を続けさせて頂いております。
博士論文のほうは、社研を離れた後2010年9月に必死の思いで提出し、2011年1月に念願の学位を取得することができました。来年2012年の2月ごろに、博士論文のエッセンスをまとめた書籍を、中央経済社から出版する予定です。私にとって初めての単著です。社研での1年10ヶ月は、研究者としてのキャリアのなかで、研究に向き合い、生みの苦しみを味わうことができた特別な期間でした。こうした機会を与えてくださった方々に、心から感謝しています。
学位取得おめでとうございます。今後のご活躍をお祈りしています。ありがとうございました。
(2011年9月27日掲載)
- 最近、嬉しかったことは何ですか?
- 子どもと一緒に植えたアサガオが、きれいに咲きました。