案内
社研卒業生の現在(いま)
黒田 祥子 さん
現在、早稲田大学教育・総合科学学術院でご活躍されている黒田祥子さんに、社研在籍当時や、最近のご様子についてお話を伺いました。
写真:栃木・那須高原にて(2013年8月)
プロフィール
黒田 祥子(くろだ さちこ)
早稲田大学教育・総合科学学術院(准教授)
専門分野:労働経済学・応用ミクロ経済学
社研在職期間:2009年4月~2011年3月
准教授
社会科学研究所には、2009年の4月から2011年3月末までの2年間お世話になりました。ご縁は、文部科学省委託の「近未来の課題解決を目指した実証的社会科学研究推進事業『生涯成長型雇用システムプロジェクト』(通称:近未来プロジェクト)」でリーダーを務める玄田有史先生の補佐役としてプロジェクトの運営に携わることになったのがきっかけです。
玄田先生からは、経済学はもちろんのこと、大きなプロジェクトの運営方法や大所帯を動かす強いリーダーシップ、そして研究を心の底から楽しむ姿勢など、たくさんのことを学びました。また先生には、「良い研究をすることが一番大切」というありがたいお言葉をいただき、ずっと自分の中で温めてきた労働時間の研究に思う存分時間を費やしました。今の職場に移ってからは学部生の教育に従事する時間が増え、社研時代ほど研究に時間を割くことができなくなりましたが、教育と研究という両輪を回す現在のスタイルを楽しむことができているのも、社研での研究に没頭した2年間があったからだと思います。
社研では、近未来プロジェクトの目玉の一つであった「雇用システムワークショップ」の事務局もさせていただいたのですが、玄田先生と相談し、経済学だけでなく、法学、人事労務管理、心理学といった幅広い分野から講師の方々をお迎えしました。ワークショップは学者だけでなく、企業の人事・総務の方や経営者、組合の方など、雇用にご関心がある方が毎回60~80人ほど集まる大盛況で、参加者全員で近未来の雇用システムについて多角的な議論を行いました。このワークショップに限らず、社研で開催される研究会やセミナーではいつも、他分野の方はこういう違った見方をするのかという発見や驚きの連続で、学際的な場に身を置くことのメリットを最大限享受したように思います。
上に書いたように、ワークショップに毎回多くの方にご参加いただけた背景のひとつには、社研のファカルティやスタッフの皆さんが作り出す温かい雰囲気や風通しの良さがあるのではないかと思います。社研を去ってから早いもので2年以上がたちますが、久しぶりに社研の方々にお会いすると皆さん温かく接してくださいます。そのせいか、在籍期間は2年しかなかったにもかかわらず、東大の赤門をくぐると、何とも言えない懐かしいほっこりとした気持ちになります。
私が社研から卒業したのは、2011年の3月。東日本大震災が発生した月でした。当時、社研では釜石市と連携して希望学プロジェクトが進行していました。社研の皆さんが釜石市をはじめ被災された方々のことを案じ、大変心を痛めながらも、震災発生直後から自分たちができることは何かを考え実際に行動に移していたことが強く心に残っています。そんな最中でしたので、私はひっそりと社研を離れるつもりでいたのですが、会議室でのお別れ会を企画してくださり温かく送り出していただきました。社研の皆さんの優しいお心遣いを本当にありがたく感じました。
社研の2年間は私のキャリアにとって貴重な財産になっています。社研の先生方、スタッフの方々、そして近未来の事務局の皆さん、たくさんの方々にお世話になりました。社研で学んだことやできたご縁をこれからも大切にしていきたいと思います。
近未来プロジェクトでは大変お世話になりました。早稲田大学での教育と研究、ますますの御活躍をお祈りしています。今日はありがとうございました。
(2013年9月13日掲載)
- 最近、嬉しかったことは何ですか?
- 一つは、震災の年に入ってきたゼミの学生が来年3月に卒業するのですが、就職を希望していた全員の進路が決まったことです。
もう一つは、10年以上ぶりに夫が5日連続の夏休みをとることができたので、久しぶりに緑に囲まれた休暇を過ごすことができました。